Vol.35  2005.11.1  この号の当選番号は136と161です。

おいしさの秘密


この原稿を書いている時点で既に窓の外の木々は色づきはじめ、本格的な秋の到来を感じています。


ところで私は「モミジ」という言葉は「モミジ饅頭」にあるように楓の別名であるとばかり思っていたのですが、先日見たテレビによると本来は「葉が色づく」状態を「モミジ」と呼ぶのだそうです。

従って、今窓の外に見える光景も「桜のモミジがきれいだね」と表現することは国語的に全く問題ないことになります。

とはいえ、何となくウルトラセブンのアイスラッガーのことを「ウルトラセブンのトサカ」と呼ぶような違和感を感じてしまうのもまた事実です。

日本語の使い方は本当に難しい・・・。


さて、日本語といえば今年私は例年の論文書きをやめ、小説一本に絞って原稿用紙四百枚少々の青春小説を書き上げました。

結局は四次選考まで残ったものの入賞には至らず「あの寝不足の日々はいったい何だったんだ〜!」という結果に終わってしまいました。

「毎月エッセイを書いているのだから小説ぐらい書けるだろう」と甘い気持ちで書いたのですが、やっぱり小説は書くよりも読む方が向いているみたいです。


そして、秋と言えば読書もいいですが、やっぱり食欲の秋でしょう。

食品売り場には様々な秋の味覚がズラリと並び、ついついおかずの量が増えてしまう季節です。


そこでKURIKURIでも久しぶりに「お芋とリンゴのケーキ」が復活しました。

甘みを極限まで控え全粒粉をたっぷりと使った生地にコニャックで香りをつけ、「これでもか!これでもかっ!」と言わんばかりにたっぶりとリンゴとサツマイモをいれた温かいケーキです。

寒い日や疲れた日に、心から暖まるケーキです。


ここで疑問に思うのは「これでもか!これでもかっ!」というのがどれくらいの量なのかというところですが、これはお芋の甘さによってばらつきがあるので一概には言えません。

基本的な調合はたまご二個に全粒粉とバターが120グラムに煮リンゴ200グラムに大さじ一杯のコニャックなのですが、黒砂糖の量はお芋の甘さによって25〜35グラムと変わり、お芋の重さも150〜250グラムとまちまちです。

この粉類に対する「具」の割合は、粉類を全く使わずに焼き上げた栗のケーキ(先月の栗と抹茶のプレートについていたケーキ)には及ばないものの、小麦粉80グラムに対してカボチャ220〜250グラムのカボチャのタルトに決してひけをとらず、「お芋とリンゴのケーキ」と堂々と名乗るにふさわしいだけのものだと思います。


ただ、ここまで具の量が多いとケーキの味を決めるのは素材です。

多少の甘みの違いや、水分の違いは糖分や粉類の加減で調節できるのですが、これはあくまでも微調整であって素材がおいしくないことにはおいしいケーキにはならないのです。


と、ここまで書いてふと気がついたのだけど、ケーキをおいしく作るのは私の腕だと思っていましたが、どうやらそれは思い過ごしのようでした。

ケーキのおいしさの秘密はどうやら、山と積まれたカボチャやサツマイモの中からおいしい素材を見つけだす、ヨメさんの眼力にあったようです。

だからもしバローや生協の食品コーナーで真剣な眼差しで棚をにらみつけているヨメさんを見かけても決しておびえないでください。

その姿こそがKURIKURIのおいしさの秘密なのですから・・・・。


KURIKURI