Vol.78 2009.6この号の当選番号は004と027と041と099と173です。

勝手に応援団長

 
このエッセイの愛読者ならばすでにご存知のように私(マスター)は恐ろしくお酒に弱いです。

愛読者ではない方のためにどれほど弱いかを補足しておくと、先日「ひつまぶし」の薬味に使われていたわずかな奈良漬でふんわり酔ってしまったと言えば、その程度がわかっていただけるかと思います。


で、そんなにお酒に弱いのなら、きっとお酒の味なんかわからないだろうと思うかもしれませんが、実は結構わかります。

まぁお酒が飲める人にはかなわないとは思いますが、下戸の世界でならチャンピオンズリーグに出れるのではないかと思える程度にはお酒の味がわかるのです。


わかるようになったきっかけは、会社員時代のクリスマス会でバーテンダーをやったこと。


支社内の百人程度のパーティーだったのですが、時はバブルの真っ只中。

一夜限りのバーカウンターにも結構な予算が回ってきたのです。

そこでカクテルに必要なリキュールなどを買い集め、レシピを見ながらいろんなカクテルの試作の日々。

・・・・といっても下戸のカクテル試作は地味なもの。お酒単体の味見はスプーンにちょびっと垂らしてなめるだけ。

カクテルはたくさん作っても飲めませんから、ストローに5mm刻みに目盛りを付けて、ちょびっとずつを混ぜて味を見るだけ。

たとえば有名な「サイドカー」ならブランデーをストローで1cm吸い上げて良く冷やしたショットグラスに垂らし、次いでホワイトキュラソーを5mmにレモンジュースを5mmと加え、ラップでふたしてシェイクすれば出来上がり。


そんな試作を日々繰り返していたものですから、お酒一つ一つの味だけでなく、組み合わせによって浮かび上がる様々な表情や個性などを知ることができたのです。


そんなわけで私はお酒の味や個性には詳しいと自負していたのですが、一つ落とし穴がありました。


それは国産のお酒をあまり知らないこと。


大学の新入生歓迎会で日本酒をどんぶり一杯飲まされて撃沈し、研究室の新人歓迎で芋焼酎のお湯割を飲んで悶絶して以来、国産のお酒はなんとなく避けていたのです。


しかし、焼酎入りのチョコレートが結構人気があると聞くと、チョコ好きとしては黙っていられません。

チョコレートの世界を広げるためにも国産酒に挑戦せねばなりますまい。・・・っと言っても、いきなり焼酎は敷居が高すぎますのでまずはリキュールから。


ネットで色々検索し、まず選んだのが日向夏のリキュール。

画面でボトルと一緒に写る日向夏の果実を見たときに、子供のころ祖母の家で白いふわふわの皮がついたままの日向夏を出されたときの驚きと、一口食べたときの清冽な香りの記憶が一気によみがえってきたからです。


そこで早速取り寄せて、ちょびっと味見をしてみると・・・ゆずとも夏みかんともちょっと違う爽やかな香りが広がります。

これは絶対チョコに合う!!っと確信し、早速生チョコに挑戦したのが、この原稿を書く前の日。

そしてその試食の結果はっ!!

・・・・・・おいしかったです。食べているときにはそれほど強く香らないのですが、飲み込んだ後の余韻が心地いい!!

いつも使っているレミーマルタンが香りに奥行きを加えるというのなら、この日向夏は幅を広げるといった感じでしょうか。

商品にするにはもう少し試作を重ねる必要があるのですが、十分にその実力があると思います。


ちなみに日向夏を選んだのは、子供のころの記憶もあるのですが、もう一つ理由があって、それは日向夏が宮崎県の特産だから。

東国原知事を心から応援する身として「買うなら宮崎から」という思いもあったのです。


しかし、よくよく考えてみれば多治見だって結構大変です、よその応援ばかりもしてはいられません。


一応KURIKURIのHPでは多治見の街をアピールしているのですが、もっともっとこの街を応援することもできるはず!

勝手に作った多治見の街の応援団(本日結成、団員約一名)として、これからも多治見のいいところをアピールしていきたいと思いますので、何かネタがありましたらぜひご一報ください。


KURIKURI