Vol.87 20010.3 この号の当選番号は014と020と056と099と109です。 

手間を惜しむな!

先月初め、バレンタイン商戦真っ只中の名古屋に行ってきました。

目的はもちろんバレンタインチョコの試食です。

この時点ではすでに当店のバレンタインチョコは決まっていたのですから、当然来年のバレンタインに向けてのこと。

来年の話をすれば鬼が笑うなんていいますが、大丈夫!お出かけしたのは二月の五日、節分の直後に屋内をウロチョロしている鬼なんかいるはずがありません。

そんなわけで鬼に笑われる心配はなかったのですが、目的地が目的地なだけに別の心配がありました。


それは・・・・「男に試食させてもらえるか?」ということ。


バレンタインといえばおなごの祭典、怪しげなオッサンがウロウロしていては試食どころか追放されるかもしれません。

かといって女装して行けば、鬼には笑いものにならなくても一般女性の笑いものに・・・いや、それよりもより一層厄介な事態になりかねません。

そんな訳で意を決して普段着で会場に足を踏み入れたのですが・・・・、意外に男性の姿も多い・・・。

甘党男子だけかと思いきや、私と同じくらいのおじさんもチラホラ。

しかも結構大量買いしている方もいるものですから、店員さんは男性にも盛んに試食を勧めている様子。

ならばと足を踏み入れると、そこはもうチョコ一色の世界。

2mごとに試食のチョコが差し出され、半周もする頃にはチョコ色の汗が噴き出しそうなほど。


 「な、何か飲み物を・・・」とあたりを見渡せば、なにやら飲み物の試飲が行われている気配。

近づいてみるとそれは「フルーツ酢」の試飲会でした。

出来れば珈琲の方がいいのだけど・・・と思いながらも近づくと売り子さんがプラスチックのカップを手渡すと共に「これから五種類のお酢の飲み比べを行います」と声高らかに宣言。


そんなわけで全身甘酸っぱくなりながらもあらゆるチョコを試食してみた結果、わかったのは日本のチョコのレベルの高さ。

異国の職人さんたちは、チョコの選定には厳しいようですが、そのチョコに加えるプラスアルファの幅が狭いように思います。

その点日本の職人さんたちは、チョコの選定はもちろんのことそれに加えるプラスアルファがすばらしい!!。

今年は生キャラメルを使ったものが多かったみたいですが、その使い方のうまいこと!!

生キャラメル独特のトロトロ感を生かしているところもあれば、そのミルキーな香りを生かしたところもあり、そしてその生キャラメルの風味にあわせてコーティングチョコの口溶けにまでこだわっているあたりが芸が細かい!


そして、そんな数ある美味しいチョコの中で最もインパクトがあったのがヘーゼルナッツ風味のチョコ。

ヘーゼルナッツなんか、少なくともその会場ではありふれたものでしたが、そこのヘーゼル君は只者ではない!!なんとまったく酸化していないんです。

っと言ってもわかり難いかもしれませんが、当店のナッツミルクティなんかも注文を受けたらミルクティが出来上がるタイミングにあわせてナッツをローストしている程、ローストしたナッツは恐ろしく早く酸化するものなのです。

ですから、酸化した匂いのしないナッツを使っているということは、チョコを作る工程とナッツをローストする工程を同時進行させているはずなのですが、作り手から見るとそれは実に大変な作業。

多分それだけのために厨房の改装が必要です。

わずかな差に大きな手間をかける職人の心意気に、惜しみない拍手を送りましょう!!パチパチパチ・・・・


なんてのんきに拍手なんかしている場合じゃありません!この原稿を書いているのは二月の末、確定申告の季節です。

実はこれを書いているのは定休日なのですが、書き始める前に領収書の整理をしようと仕分けをし始めたら店中の机の上に領収書やら納品書の山ができるではありませんか。

まぁそれでも、問屋さんや専門店からの仕入れの分は日付別に分ければいいだけですから良しとしましょう。

問題は、バローや生協で買った分。ランチなどの日々の食材を買っているのですが、これらのレシートには当然我が家の食材も含まれます。

これを品目を見ながら一つ一つチマチマ消していかねばなりません。買い物は毎日しているのでこれが365+α枚・・・


きちんと毎日仕分けして、日付順に整理しておけばエクセルに入力するだけですんだものを、ちょっとサボったばかりに膨大な時間を無駄にするはめに・・・。

わずかな差に大きな手間をかける職人さんに拍手を送る暇があったら、わずかな手間を惜しんだばかりについてしまった大きな差を埋めねばなりません。

急いで原稿を書き上げ、例え鬼に笑われようと、来年こそは楽に確定申告できるよう日々の手間を惜しまないようにしましょう!!


KURIKURI