Vol.91 20010.7 この号の当選番号は003と042と059と070と145です。 

眠れぬ日々

今日は寝不足の日。

と言っても何がなんやらわからないかもしれませんが、この原稿を書いているのが6月25日と言えばおわかりになるでしょうか。

そう、ワールドカップで日本が決勝トーナメント進出を決めた日です。

幸い当店にとって今日は定休日なので影響なかったのですが、仕事の方は一日大変だったことでしょう。


そしてこのワールドカップで一躍有名になったのが南アフリカの民族楽器とも言われている「ブブゼラ」。

私くらいの年代の人だとつい「ブルセラ」と言ってしまって恥ずかしい思いをした方は大勢いると思いますし、京都周辺ではつい「ぶぶ漬け」と言ってしまってお客さんを帰らせてしまった方も一人くらいはいるかもしれません。


ただ、テレビを見ていて思うのですが、日本の応援にブブゼラを使うのはどうなんでしょう。

日本の応援なんだから日本古来の「でんでん太鼓」をサムライブルーに塗って使うとカッコいいと思うのですが・・・・・。

あと、エヴァンゲリオンカラーにしたりすると外国人にも人気が出るかもしれませんし、なにより外国製のものを使うより日本の地域経済の活性化にもなりますから・・・。


なんて中途半端な経済ネタでは退屈なので、アフリカがらみのトリビアをひとつ。


「アフリカの鶏卵は白い」。


アフリカ中央部やインド南部では飼料の関係で卵黄に当たる部分にほとんど色素がなく、真っ白なそうです。

ですからゆで卵にして切ってみると切断面はツヤあり白とツヤなし白になっているだけですし、玉子焼きは白い塊で、卵がけご飯は山かけご飯と区別がつかないなんて記事を読んだこともあります。

まぁ南アフリカはヨーロッパ文化の影響が大きな国ですから、黄色い卵を使っていると思いますが、「卵黄」という概念は世界共通のものではないということなのです。


ちなみに日本にも「白い卵黄」の卵は流通していて、主に製菓業界で使われています。

例えば真っ白なスポンジケーキや色鮮やかなアイスクリーム等、卵黄のコクや凝固力は使いたいけど色が邪魔なもので活用されているそうです。

ただその流通は需要のある都会に限られていて、このあたりではなかなか手に入りません。

ブドウのムースを作るときなど、赤ぶどうの渋みを消してコクを増すのに卵黄は丁度いいのですが、赤ぶどうと卵黄を混ぜると色は微妙な緑色。

おいしさと見た目を秤にかけて赤ぶどうは断念し、今回は爽やかなマスカットムースにしたのです。

そして同じく色の問題でぶどうのアイスクリームも諦めてシャーベットに。

色さえよければ赤ぶどうのアイスクリームはなかなかのおいしさなので、いつか白タマゴが手に入ったら挑戦してみたいところです。


さて、アイスクリームといえば当店のアイスクリームは全て自家製手作り。

バニラアイスは冬と夏で卵黄の量が変わり、チョコレートアイスもパフェメニューのたびに他の素材にあわせてチョコの種類や製法を変えてつくるほどこだわってつくっています。


とはいえ最初からそのこだわりがうまく行くわけではなく、毎回試行錯誤の連続です。

チョコレートは種類によってカカオバターの量が変わってくるのですが、カカオバターが多くなってくると口どけが悪くなってしまうのです。

それを解消するために卵黄を使うか、ゼラチンを使うか、寒天などの多糖類を使うか、それとも生クリームの乳脂肪分で調節するか。

今でこそ経験がありますから、チョコの配合が決まれば後の組み合わせの見当くらいはつけることができるのですが、かつては一々試してみるしかなく、大量のロスを生じたものです。

そして作った以上は試食をしなければなりませんし、捨てるのがもったいないのでついつい余計に食べちゃったりもします。


そんなことやらバレンタインの試食やらで付いた脂肪がやっと最近落ち始めたと思ったら、今月の終り頃からパフェ祭り。

定番の紅茶パフェに加えて常時二種類の新作パフェを出す予定です。

「予定です」なんて言っておきながらまだ全然決まっていないところにも問題があるのですが、再びの試食三昧生活でお腹まわりの「神秘のベール」が分厚くなってしまうのも問題です。


おいしいデザートを作るためには試食をしなければなりません。

しかも「祭り」と言う以上、ちょこちょこ色んなパフェを出し続けなければならないでしょう。

ウエストサイズを増やさないためには、今までの経験をフルに活かして考え抜かねばなりません。眠れぬ日々が続きそうです。


KURIKURI