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黒いクリスマス

ブラックサンタクロースをご存知でしょうか。

ドイツ周辺で広く知られている伝承で、現地ではクネヒトループレヒトと呼ばれているそうですが、要するにサンタクロースの悪いバージョンです。

その姿は地方によってサンタさんと同じ姿で黒い衣装だったり(単に暗くて赤い色が見えなかっただけでは?)、日本のなまはげのようだったり(なまはげの海外旅行だったりして)、悪魔のような姿だったり(サンタとサタンをかけた駄洒落か?)と様々なパターンがあるようです。

ただそのその役割は基本的にどこも同じで、サンタさんが来ないような悪い子を懲らしめること。

ある地方では、サンタさんがせっかく置いて行ったプレゼントを持ち去ったり(それは泥棒では?)又ある地方ではプレゼントの代わりに石炭とじゃがいもを枕元にばらまいたり(焼きジャガ好きの子どもなら大喜び)、そして又ある地方では臓物を部屋中にぶちまけたり(ホルモン大好きなおやじギャル(死語か?)なら狂喜乱舞)、と狼藉の限りを尽くすそうです。

そしてそのブラックサンタクロース伝説は我が家にも代々伝わっており、良い子ならば赤いサンタがプレゼントを持ってきてくれるけれど、悪い子なら黒いサンタが臓物を持ってやってくるのです。

ただその姿はヨーロッパのようにキャラが立っておらず、中肉中背でごく普通の人。

確かな話ではないのですが、噂によると色白でメガネをかけているようです。

そして臓物を持ってやってくるのですが、派手にぶちまけると大変なことが起こるらしく(嫁さんに叱られるとか)、枕元にこっそりと「こてっちゃん」を置いて去っていくらしいのです。

しかし、残念ながらウチの娘はまだ悪の道に足を踏み入れていないために一度も黒い方がやって来ておらず、未だホルモンパーティーは開いていません。

さて、そんな我が家のクリスマスの定番は(このエッセイに愛読者ならご存知のことと思いますが・・・)ローストチキンです。

毎年クリスマスイブには丸鶏を一羽買ってきて、仕事の合間にお腹の中に香味野菜を詰めたりと下ごしらえをし、夕方には店の中に醤油とワインを塗った鳥が焼ける香ばしい匂いが漂います。
と、毎年慌ただしく準備しているのですが今年のクリスマスイブは金曜日で定休日。

いつもよりじっくりクリスマス料理が作れそうです。

しかしそこで問題なのがクリスマスケーキ。

うちで食べる分には当日作ればいいのですが、お客様にお出しするケーキは早くても前日渡しになってしまいます。

となると、ある程度日持ちがするものにしなければなりません。冷凍にしておいしいケーキは去年やってしまいましたし・・・

仕方が無いので、以前やっていたようにガトーショコラでいこうか・・・とも思っていたのですが、それでは芸がありません。

あ〜だ、こ〜だ、と考えて、いろいろ試作をしてみた結果、・・・体重が1kg増えました・・・・・という話じゃなく、ちょっと変わったチョコレートケーキができました。

今あるガトーショコラよりも真っ黒なチョコレートケーキ。

まぁそれでも見た目は普通のケーキ。上から見ようが下から見ようがただの黒いケーキです。

しかし切ってみると、漆黒のチョコレートケーキの中にピンクの層が!

誰ですか「内臓みたい」なんて言っている人は!

木苺を練り込んだホワイトチョコのガナッシュを忍ばせているのです。

濃厚なチョコの香りに負けない涼し気な木苺の香り。珈琲にも紅茶にも合うデザートに仕上げました。

クリスマスっぽい派手さはないのですが、落ち着いた大人のケーキ。

部屋を暗くして、漆黒の珈琲と共に黒いクリスマスはいかがでしょうか。


KURIKURI