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欲望の秋

 秋です。


食欲は増え、読書量も増えたのですが、芸術鑑賞には縁がありません。

そのかわりといっては何ですが、夏の間ちょっと深めに焙煎して苦味を深くしていた珈琲豆を通常モードに戻しました。

汗をかき、いつもよりも深い苦味を美味しいと感じる季節が終わったというわけです。


そんな秋は、珈琲も美味しいのですが紅茶も美味しい季節です。

これは寒さから身を守るために、タンニンの渋味を求めるという科学的な根拠もあるのですが、紅葉した木々の色に紅茶がよく合うという風流な根拠だってあるのです。


科学的にたっぷりのタンニンを求めるのなら、通常の四倍近い茶葉を使ったロイヤルミルクティーやメープルミルクティーなんかがぴったりですし、さらにスパイスの効能もあるチャイなんかもいいでしょう。


外の風景と一緒に楽しむのなら、色味の鮮やかなウバやディンブラといった紅茶がよく合います。


そしてそんな紅茶の季節のために作ったのが、今回の「紅茶ケーキのプレート」。

アールグレーの茶葉をふんだんに使って焼き上げて、熱いうちにメープルシロップをたっぷり染ませた紅茶ケーキにフルーツやアイスも添えたデザートプレートです。

文庫本を片手に、秋のゆるやかな時間を楽しんではいかがでしょうか?


そんなことを書きながら、ふと気がつくと「キャラメルリンゴクレープ」にも、紅茶のアイスを使っていますし、「おいもとリンゴのパフェ」にもミルクティプリンを使おうかなんて思っています。

特に紅茶を意識して作ったわけではないのですが、美味しい組み合わせを…と思っていたら、いつのまにやら紅茶ものを選んでいたのです。

やはり体が求めているということなのでしょうか。。。


そして体が求めるといえば、私は風邪のひきはじめにロイヤルミルクティーをよく飲みます。

店で作るときにはちゃんとしたロイヤルミルクティーにハチミツやメープルシロップで甘みを加え、生姜なんかもいれたりなんかして飲むのですが、体が温まり喉の痛みも和らぎます。


このように今ならあらゆる紅茶グッズがあるのでいいのですが、独身時代はヒドかった。。。


鍋に牛乳を入れて、ティーバッグを2つほど放り込み、砂糖をてんこ盛りで作るのが標準なんですが、更に栄養をつけようと砂糖の代わりに「ミロ」を入れたり、牛乳の代わりに「飲むヨーグルト」を使ったりと、誰も見てないのをいいことに狼藉の限りを尽くしたものです。

文字で見るかぎりなんとも不味そうなシロモノなんですが、ロイヤルミルクティーは意外に懐が深い飲み物。

オレンジジュースやカルピスを少々加えたくらいなら、結構美味しく飲めるのです。

ただ、記憶の中で唯一不味かったのはインスタントコーヒーを加えた時。

形容しがたい微妙な苦味もさることながら、鼻から抜ける香りがなんとも不快だったのです。

普段紅茶クッキーを食べながら珈琲を飲んでも美味しいのですから、体調の悪さのせいなのかもしれませんが、この時ばかりはふた口と飲めずに悶絶しました。

多分この時は熱があって汗をかき、体が苦味を求めていたのでしょうが、体調の悪い時にあまり冒険をするものではありません。


季節は秋。 


夏バテした体を癒し、寒さに備えて体が食べ物を求める季節です。


アウトドア活動に疲れた体が、書物に癒しを求める季節です。


夏の強烈なコントラストに疲れた感性が、複雑精妙な芸術に癒しを求める季節です。


素敵な音楽を聞きながら、お気に入りの本を片手に、美味しい物を食べるのに相応しい季節です。


でも・・・・・


体調が良くないときには、あまり欲張らないほうがいいかもしれません。


KURIKURI