112号の当選番号は 052 088 138 152 165 です。

春の京都で甘味三昧

先月末にお休みを頂き、行ってきました春の京都!

と、勢い良く「春の」と書いたものの、3月末でありながら京の都には桜の花の気配もなし・・・。

こちらでもそうでしたが、京都でも数日前に雪が降ったらしく、桜の蕾はふくらむどころか硬く縮こまったまま。


とはいえ目的は花見ではなく「美味しいモノ」。まずは南禅寺に行って湯豆腐のリベンジ。

以前来た時には桜が咲いていたため超満員で店に入れなかったのですが、禍福は糾える縄の如し、今回は桜が咲いていなかったおかげで楽々入店。風情あるお庭を眺めながら湯豆腐に舌鼓を打つことしばし。


そして周辺を散策して腹ごなしをした後は、哲学の道へGo!

こちらも桜なんか一輪も咲いていないのですが、お目当ては「甘いモノ」。

脇目もふらず叶匠壽庵に直行です。


哲学の道から古びた小さな木橋をわたり、苔むした門の暖簾をくぐるとそこはもう和の世界。

先ほど雨が降ったおかげで新芽の緑が際立ち、古風な建屋をいっそうシックに落ち着かせています。

そんな前庭を眺めながら店内に入ろうとすると、入口がするすると開くではないですか。

せっかくの風情ある建物なのに自動ドアとは味気ない…っと思っていたら、中で見ていた店員さんが開けてくれた模様。

千年の都の風情をなめてはいけません。


そんな叶匠壽庵でいただいたのが、抹茶パフェとぜんざいとお薄。

和菓子のお店ですから小豆や抹茶が美味しいのは当然なのですが、素晴らしいと思ったのはその器。

特に抹茶パフェの器はザラリとした灰色の手作り陶器。

冷たいデザートなのに温かささえ感じるその質感は、ガイドブックの写真映りには拘らず、店内の雰囲気を第一に考えた「もてなしの心」を感じます。


その後は銀閣寺に行き、庭園の草木一本にまで心血を注ぐ「侘び寂び」の精神で心を満たしていると、思い出したのは「鍵善良房」。

葛の根っこ1キロからたった100グラムしかとれない葛粉だけを使った本物の葛に、シンプルに黒蜜だけをつけていただく究極の「くずきり」こそが、この「侘び寂び」の心に髪の毛一筋の隙間もなくぴったりと収まります。


そこで翌朝一番で「鍵善良房」へ。

まだ朝の9時半ということもあってか、店内には私達の他二組だけ。

静かな店内で、しっとりとした庭園を眺めながら美味しいほうじ茶とお茶請けの落雁を堪能しながら待つことしばし。

以前は水琴窟の音が店内に響いていたのですが、今回は全くの無音。

多分庭の水琴窟の音をマイクで拾って店内で流していたと思うのですが、メンテナンス中だったのかもしれません。


そんなことを考えているうちにやってきた「くずきり」。

漆塗りの真っ黒な器に白く泳ぐくずきりを箸で掬い、黒蜜に浸して…口に含むと、そのシンプルな姿からは想像もできない美味しさが広がります。

まず驚くのはその歯ごたえ。

簡単に噛み切れそうなのに切れる寸前に力強く抵抗する不思議な柔らかさが舌を惑わせるのです。

そして次に来るのが芳醇な黒蜜の香り。

普段はきな粉などと一緒にしか口にしない黒蜜が、これほどまでに複雑玄妙な香りを持っていることに驚かされます。

そして最後はのどごし。

噛み切られることにあれほど強く抵抗したくずきりが、今度はまるで意志を持っているかのようにのどを滑り降りていくのです。


と、こんな具合でくずきりの美味しさを書いていたらとても一枚では収まりません。

もうひとつ書いておきたい中村藤吉の話に行きましょう。


今回行った「中村藤吉」は京都駅のスバコ伊勢丹店。

ここでしか食べられないという「まるとパフェ」がお目当てです。

すんごく並んでいた…などという途中経過は書いている余裕が無いので結論だけ書くと…抹茶パフェもほうじ茶パフェも「美味しかったです」。

和の美味しさを、アイスクリームやシフォンケーキやゼリーに活かしたパティシエの技も、美しく彩られた盛り付けも最高でした。


そんなこんなで美味しさいっぱいの京都旅行でしたが、その経験は今後のデザートに活かしていこうと思います。

まず4月初めの「春の和風プレート」では、中村藤吉で買ったほうじ茶をゼリーにして使います。

黒豆きなこと黒蜜をたっぷりまぶし、本家中村藤吉の「生茶ゼリー」とは一味も二味も違う新しい美味しさに仕上げましたのでぜひ一度ご賞味下さいませ。



KURIKURI