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神に願いを

いつの間にやら年の瀬です。

少年時代には年の瀬が迫ってくると、両手両足では足りないくらい前から指折り数えて正月やクリスマスを待ち焦がれたものですが、今は何となく忙しいだけ。

大人ですからお年玉だけは涙をのんで諦めますが、せめてサンタさんくらいは来て頂きたいところです。

そんな具合で大人になってしまうと、年が明けたところでたいした変わりは無いのですが、KURIKURIはちょっとだけ変わります。

定休日が金曜日から火曜日に変わるのです。

開店当初は水曜定休だったものを、娘の小学校入学に合わせて「たまには連休をとって娘と遊びに行こう」と金曜日に変えたのですが、もうそろそろ遊んでくれないお年頃になってしまったのです。

火曜日に来て下さっているお客様には誠に申し訳ないのですが、よろしくお願い致します。

そして定休日が金曜日から火曜日に変わると、わたし的にも若干困ったことがあります。

それはデザートの試作。

これまでのパターンではデザートの二週目の月曜あたりに次のデザートの構想を固め、火水木の三日間で試作を繰り返して、金曜日に完成させていました。

しかし火曜日が定休日になると、土日にはのんびり試作している時間がありませんから、このパターンは使えません。

これが高校大学生の頃ならばナノ秒のためらいもなく一夜漬けに全てを託すところですが、社会人になって四半世紀も経つと「それはアカン」くらいの分別は身につきます。

そこでついに一大決心をしました。

それはレシピをちゃんと残すこと。

今まで数え切れないくらいのデザートを作ってきましたが、レシピは一切残っていないのです。

常に新鮮な発想で取り組むために、そして締め切り直前のひらめきを期待して毎回一からデザートを作ってきたのですが、土日を挟む火曜定休ではそうもいきません。

五十歳にもなったことですし、そろそろひらめきに期待するよりも、しっかりと記録を残して技術を積み重ねることにしていきましょう。

でも、記録に残すようになったら、新しさがなくなってしまうのではないか?と思う方もいるでしょう。

確かに新しさにはひらめきが必要なもの。

しかし四大文明が文字の発明によってもたらされたように、記録は発展に不可欠なものでもあるのです。

三内丸山遺跡の集落が、正確な測量技術によって作られたものであることが歴史学会に大きな衝撃をもたらしましたが、それよりも驚くべきはそれが千五百年以上も進歩しなかったこと。

誰かのひらめきによって建築技術が大きく進歩したのでしょうが、記録するすべがなかったために、それを発展させることができなかったのでしょう。

と、めいっぱい話を膨らませてしまいましたが、要するに言いたかったのは、これからもちゃんと新しいデザートが出てくるだろうと言うこと。

レシピをとるようになったからといって、レシピと同じものを出すわけではないのです。

これまでも本やネットなどの様々なレシピを参考にしてきましたが、最終形のデザートとになった時にレシピと全く同じだったものは一つもありません。

レシピをとるようなっても、きっと毎回アレンジしたデザートを作ることでしょう。

だた問題は、私の記録無精が筋金入りだと言うこと。

自分で書いた字が自分で読めないほどの悪筆のせいもあって、学生時代からほとんどノートをとったことがないのです。

私の記憶が確かなら、高校三年生の授業用ノートは全教科合わせて大学ノート一冊だけであり、その一冊だけで一年間を過ごしたはずです。

そして大学時代はノートを所有した覚えがなく、社会人になってからも研究職でありながら実験ノートをつけた覚えはなく、そのまま現在に至っているのです。

こんな奴が火曜日定休を無事に乗り越えることができるのか?

これでまず、来年最初にやらなければならない事が決まりました。

毎年恒例の熱田神宮へ行き、気合いを込めてお賽銭を投げると、心を込めてこう願うのです。

今年はちゃんとノートをとれますように

KURIKURI