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vs100?


今月半ばからパフェ祭り。

お客さんにとっては毎週新しいパフェが楽しめる「お祭り」ですが、作る身としては次々と新しいパフェを生み出さなければならないという、極真空手の百人組手のごとき「荒行」です。

しかも百人組手は達成すれば伝説の空手家として永遠に名を残しますが、私の方は達成しても次の「栗まつり」が待っているだけ。

何とも理不尽な気がしますが、よくよく考えてみれば挑戦者のほとんどが病院送りと言われている百人組手のように危険なものでもありません。

それにお客さんから直接「美味しかった」と言ってもらえるのですから、やりがいはたっぷりとあります。

そもそも、これは自分がやると言い出したことなのですから、つべこべ言わんと美味しいパフェを作りましょうか。

さてさて、そんなわけで美味しいパフェのネタを探すべく先月半ばに休みを頂いて京都に行ってきました。

これまで何十回も行っているのですから、いい加減新しいネタなど見つからないようなものですが、世界最古の小説を生み出した千年の都には汲めど尽きぬネタの泉が湧いています。

今回最大の収穫があったのは「Jean-Paul Hévin」。

知らない人が見たらパウル・ヘビン君がやってるジーンズショップみたいですが、正しくは「ジャン-ポール・エヴァン」、世界的なショコラティエのお店です。

そして京都にあるのは、日本では他に東京にしかないという「サロン ド テ」。

音だけ聞けば土手に建てられた社交場みたいな感じですが、フランス語で「上流階級向けの喫茶店」みたいな意味だそうです。

そしてサロンと名乗るだけあって、店内の雰囲気の上品なこと。

私たちはほぼ開店直後に行ったのですが、その時店内にいたお客さんは外国人だけ。

まるで国内ロケを海外ロケっぽく見せるために雇われたエキストラのごとく店内の雰囲気を異国っぽくしています。

そんな異国風情?溢れる店内で、注文したのが「チョコ系」「キャラメル系」「ココナツ系」の三種類のケーキ。

世界的ショコラティエが作るだけに、さぞやチョコ感溢れる濃厚なケーキだろうと思っていたら、意外にも軽やかな風味。

珈琲でいうならばシナモンローストくらいに浅く焙煎した感じのシャープな香りです。

そしてキャラメルやココナツも、こちらの予想を斜め四十五度ほど外した意外な美味しさ。

単純に素材の良さを活かすのではなく、よい素材に意表を突いたアプローチを試みる。

パティシエの開拓精神を感じる美味しさでした。

そして次に収穫があったのが「老松」。

こちらはもう何度も足を運んでいる名店なのですが、やっぱり美味しいものは美味しい!

ひんやり冷たいのに芯はほんのり温かい作りたてのわらび餅は、いつまでも飲み込みたくないほど官能的なくちどけ。

素材よりもはるかに瑞々しく鮮烈な香りの夏柑糖は、このお菓子のためだけに夏蜜柑という品種が残っているといわれるほどの人気商品。

この美味しさを極めようとする姿勢には、いつも心に深い刺激を与えてくれます。

そしてこのほかに何軒かのパン屋さんも回ったのですが、パン激戦区と言われる京都のパン屋さんはどれも個性的です。

餡にこだわる、小麦にこだわる、焼き方にこだわる、と様々なこだわりの店ばかり。

厨房にしっかり面積をかけているものですから、売り場がホンの二畳くらいしかないという小さなお店も多く、次々にくるお客さんが店の外に並んで順番を待っているのです。

美味しいものを作ろうという情熱、そしてそれを支えているのが美味しいものが食べたいというお客さんの情熱なのでしょう。

さてさて、こんな美食の都に刺激を受けて帰ってきたのですから、何かしなければ気が収まりません。

そこで手を付けたのが、アイスクリームの改良。

当店のアイスクリームはすべて家庭用のアイスクリーマーで作っています。

このため気温や素材の温度で仕上がりが若干変わりますし、何より高級なアイスに比べるとアイスに含まれている空気の量が少ないうえに気泡の大きさが大きすぎます。

その分を素材の良さでカバーしてきたつもりなのですが、やはりそれで妥協してはならないような気になったのです。

しかし、気泡の量や大きさをコントロールできるアイスクリーマーは小型の物でもベンツよりも高い。。。

そこで考えたのが、後から気泡をコントロールすること。

具体的には、アイスクリーマーから出したばかりの柔らかいアイスクリームを、ミキサーでさらに攪拌するのです。

この時にミキサーの羽根の形状や回転数に工夫を凝らせば、かなり理想に近いアイスクリームが作れることがわかってきました。

これからパフェ祭りに向けてたくさんのアイスを作るのですから、きっと近いうちに理想のアイスが作れるようになることでしょう。

そしてせっかく理想のアイスが作れるのなら、お持ち帰り用のアイスを作るのも悪くないなぁなんて考えています。

しかし、ちょっと待て。ちょっと待て自分!

冒頭でパフェ祭りが「荒行」だと言ったばかりじゃないですか。

それに加えて販売用のアイスを作るとなると、本気で百人組手並みの大変さになるような気がします。

いやしかし、何層にもアイスを組み上げたパフェアイスなんか作ったら、きっとめちゃ美味しいよなぁ・・・どうしよう。。。。



KURIKURI