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デビュー間近


今年もまたバレンタインフェアに行ってきました。

会場は名古屋高島屋のアムール・デュ・ショコラだったのですが、まだバレンタインまで三週間以上もあるというのに恐ろしいほどの人出です。

バレンタインフェアに通い始めた十年前には、会場に足を踏み入れるには女性専用列車に乗るほどの覚悟が必要でしたが、今や男性の姿は当たり前。

ハンチングを被ったダンディな紳士から穴あきジーンズをおしゃれに履きこなした若者までが、真剣な表情でショーケースをのぞき込んでいます。

そしておしゃれなのはお客さんだけではありません。各ブースにいる売り子さんたちもまたおしゃれ。

かわいいベレー帽をかぶっていたり、ディズニーランド以外では見かけないような大きなリボンをつけていたり、メジャーデビュー前のアイドルグループのような制服を身に着けていたりと、ついそちらにも目を奪われてしまいます。

そんな女性達から目を引きはがしてショーケースを見ると、これまたおしゃれな商品の数々がずらり。

チョコそのものがかわいらしくデザインされたものも多いのですが、それ以上に多いのがやたらとかわいいパッケージ。

もともとヨーロッパのチョコは洗練されたデザインのパッケージが多かったのですが、今年はインスタ映えを狙ったのかチョコのパッケージとは思えないほど凝ったデザインのものが数多くありました。

そしてそのパッケージを活かすためなのか、中身はたったの四個しか入っていないのに一ダースは入りそうな箱を使っている物もチラホラ。

私なんかこんな箱で貰ったら、開けた時にがっかりしそうですが女子的には箱のかわいさもまたおいしさの一部なのでしょう。

そして今年のチョコを一通り見て思ったのは外国人パティシエ達の意識の変化。

少し前までヨーロッパのチョコは毎年同じような商品展開ばかりだったのが、ここ数年は毎年新しい味にチャレンジしているところが増えています。

そして今年は和素材にチャレンジしたパティシエも多く、抹茶や柚子を使ったチョコが結構色々出ていました。

とは言え、和素材に関しては日本人パティシエの方が一日の長があります。

今年の試食の中で一番おいしいと思ったのは、パレ・ド・オールの「獺祭(だっさい)」を使ったチョコレート。

チョコ界の発明家とも呼ばれる三枝俊介シェフが、伝統とテクノロジーを融合して最高のおいしさを追求した日本酒である獺祭を使って作ったチョコレートなのですが、これはもう絶品。

口に含んだ瞬間に滑らかに溶け始め、角のとれた柔らかな香りが立ち上ります。

今までチョコレートと一番相性のいいお酒はコニャックだと信じていたのですが、チョコの種類を選べば日本酒もまた最高に相性のいいお酒なのだと知りました。

さてさて、よそのチョコを褒めてばかりもいられません。

今年は去年人気だったチョコテリーヌとお茶三昧&プレーンの生チョコとパテ・ド・ショコラに加え「とろけるマンディアン」がデビューです。

「マンディアン」と聞いても「マンディアンが通る、アッホイ・アッホイ・アッホッホイ♪(正確にはインディアン)」という童謡しか浮かばない方もいるかもしれませんが(私もその一人でしたが)、マンディアンとは丸いチョコの板の上にナッツやフルーツを飾り付けたもの。

私はあまり飾りつけに興味がないので見落としていたのですが、ウチの女性陣によると最近「来ている」チョコの一つだそうです。

そこで今年はマンディアンを新作チョコにすることにしたのですが、私としては興味があるのは飾りつけよりも味付け。

どんなチョコにすれば美味しいのだろうと脳内の走馬燈をマッハの勢いで回転させたところ、思い出したのがアンリルルーのキャラメル。

キャラメルとは思えないほどスルスルと溶けていくのに、濃厚な味わいだけはいつまでも口の中に残る美味しさなのです。

そこでこのキャラメルの味を再現すべく試作を重ね、そこそこいい線まで来て気が付きました。 私が作るべきはキャラメルではなくチョコレート・・・。

そこでこのキャラメルと相性のいいチョコレートと融合し、作り上げたのがキャラメルチョコのマンディアン。

しかもこのマンディアン、チョコが美味しいだけではありません。

中に入れたアーモンドも独自の製法でローストしてチョコとピッタリの香りに仕上げています。

どんな製法なのかは秘密なのですが、もし興味のある方は私の死後にお墓の中に製法を暗号化した紙を隠しておきますので、丑三つ時にでも探し出して解読していただきたい。

そして一種類では面白くないので、もう一つ作ったのがオレンジチョコのマンディアン。

ビターなベルギーチョコで作ったハードガナッシュに、シチリア産のブラッドオレンジとバレンシアオレンジのパート・ド・フリュイと温州ミカンのコンフィを飾り付けた大人の味わいのチョコレートです。

と、こんなラインナップのバレンタインチョコを作ったのですが、いかんせん箱が地味です。

まだ特注の箱を作るほどの財力がないので仕方のないことなのですが、なんか時代に取り残された気がします。

こうなったら私がメジャーデビュー前のジャニーズのような格好で売るしかないか。。。。



KURIKURI