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縄か杖か


先日ちょっと京都に行ってきました。
これまでもパフェのネタに詰まると神頼みならぬ京都頼みでしばしば古き都を訪れていたのですが、今回はちょっと事情が違います。
今回の旅行はいわばリベンジマッチ。
この旅行のホンの二・三週間前にも京都に足を運んでいるのですが、その時目的地にしていたお店が臨時休業で入れなかったので、再チャレンジしたというわけです。
 
そして、そのお店とは「静香」。創業80年を誇る老舗の喫茶店です。
まぁ千年の都と呼ばれる京都から見れば80年なぞ僅か8%。
消費税にも満たぬほどの新参者かもしれませんが、電車のボックス席のような配置のテーブル席にビロード張りのソファーと昭和中期の趣を色濃く残した店内には独特の風格が漂っています。
そんなレトロな雰囲気の中で食したのが「フルーツサンド」。
インスタ映えするビジュアルもあって最近ちょっと流行しているシロモノですが、どうしてもここのが食べたかったのです。
なぜそこまで食べたかったかというと、以前見たテレビでレポーターが「カステラのようなパンに挟まれた」と言っていたから。
もし私が猿なら、キビ団子をくれるといっても鬼退治にはついていきませんが、カステラならばホイホイついていきますし、もしそれが福砂屋ならばゴジラ退治にだってついていくほどのカステラ好きなのです。
 
そんなわけで遠路はるばる食べに行ったフルーツサンドですが、それはやっぱり美味しかった。
ホイップクリームの中には小粒の温州ミカンにパインにキウイ。
それがほんのり黄色いパンにはさまれているのですが、その断面の美しいこと。
それをパクリとかぶりつけば、しっとりとしたパンはほんのりと甘く、果物の酸味や甘みと調和します。そして食べ進めるごとに果物の種類も変わり、あっという間に食べつくしてしまう美味しさでした。
 しかし、しかぁし!パンはカステラではありませんでした。たぶんブリオッシュです。
「パンがなければブリオッシュを食べればいいじゃない」とマリーアントワネットが言ったという噂がありますが、ブリオッシュは食パンの代わりになれどもカステラの代わりにはなりません。
レポーターの目にはカステラのように映ったかもしれませんが、カステラ警察でもある私の目はごまかせません。
そんなわけで、今月中旬のパフェはカステラを使った「フルーツサンドパフェ」になったのです。
 
さて、話変わってこの原稿を書いている現在の悩みの種は製氷機。
ここ二週間ほど「キュイーーーン」という甲高い音を出すようになっていたのですが、一昨日ついに氷を作らなくなってしまったのです。
そこでいつものようにバラして調べた結果、どうやら循環ポンプが動いていないようです。
ポンプ本体を触るとめちゃめちゃ熱くなっていましたので、原因は電気系ではなさそう。
ならばポンプを交換すれば直るはずと、同じ型番をネットで探すも見つからず、似たようなものを注文して届いたのが昨日の話。
さっそく取り付けようとすると、ポンプを固定しているボルトが手持ちの工具では外せないことが判明したのです。
そこでさっそく発注して、今それを待っている段階です。
 
それにしても気になるのが私の泥縄極まりない対応です。
理系なのですから「キュイーーーン」という異音から高回転部の異常であることはわかるはずですし、高回転部品はポンプかファンしかなく、位置からポンプであることは容易に判断できたはずです。
この時点で中を開けてポンプを発注していれば、そして開けた時点でポンプの形式だけでなく取り付け部品までチェックしていれば、今頃はもう快適な製氷ライフをおくっているはずなのです。
 
さらに冒頭の京都の話も、行く前にちょっと電話で確認しておけば無駄足を踏まずに済んだわけです。
そしてさらにメニューを印刷してから気が付いたのですが、フルーツサンドパフェの後に苺ショートパフェでは見た目で差をつけるのが難しいので、連続するのは避けるべきでした。。。。
 
どれもこれも事態が発生してから対応を決めるという、泥縄以外の何物でもない対応。
いい年こいた大人のやることではありません。
これはやはり座右の銘を「何とかなる」にしているのが原因なのでしょうか。
ならば、今後は座右の銘を「転ばぬ先の杖」にすれば…。
と、ここまで書いたところで、朗報です。
工具が届いたので修理を再開したところ、サイズの合わないポンプを針金で縛りつけるという強引な手法ではあったものの、無事に製氷機は復活しました。
 
そう、困ったことに、たいていのことは何とかなってしまうのです。
しかも楽しい。予想外の出来事など困難があればあるほどミッション達成感も高まります。
一度目の京都も静香は閉まっていましたが、空いた時間で偶然立ち寄った店ではとても美味しい時間を過ごすこともできました。
きっと苺ショートパフェだって美味しくできることでしょう。
 
やはり杖に頼るのは腰が曲がるまで待つことにして、しばらくは泥縄でいくことにします。



KURIKURI