216号の当選番号は 023 033 053 167 177 です。

パフェ・アメリカーノ


「A rolling stone gathers no moss」ということわざがあります。
直訳すると「転がる石には苔がつかない」となるのですが、この解釈の仕方が面白い。
イギリスでは「仕事をコロコロ変えるようじゃ何もスキルは身につかないぞ」というマイナスイメージなのに対し、アメリカでは「常に活動してりゃ頭が古くなることはない」というプラスイメージの意味になるのです。
同じ言語を話すアングロ・サクソン人でありながら、同じことわざを全く逆の意味にとらえるという、何とも不可解な話です。
ちなみに日本人の感覚からすると「流れる水は腐らない」と言うようにアメリカ的な解釈の方がしっくりくると思います。
ただ、私が不思議で仕方ないのが、苔がつくかどうかというレベルまで転がり続ける石があるのかということ。
流れる水が腐らないのは清流を見れば自然に思いつくこと。しかし、苔がつかないほど転がり続ける石なんて誰が見たというのでしょう?
まぁ日本には鬼殺隊に入って日輪刀を振り回す少年がいたように、イギリスにはハリーポッターがいたのですから、常に転がり続けるように魔法をかけられた石があったのかも知れませんが。
 
話は変わりますが、当店はコロナ対策の一環として換気のため入り口の扉が常に少し開いています。
たったこれだけで換気になるのかと不安になる方もいるかと思いますが、換気扇と併用することにより20分で店の中の空気は入れ替わるのです。
しかも、エアコンとサーキュレーターによって店内どこにいても空気は動いており、流れる水が腐らないように汚れた空気がとどまることはありません。
例えば20分に一回窓を全開にして部屋の空気を入れ換えたとしても、その20分の間にはき出された空気はそれまでそこにとどまり続ける事になるのです。
空気を介した感染は、大きな飛沫を吸い込むか、小さな飛沫をたくさん吸い込むことによって引き起こされます。
当店の換気方式はこの小さな飛沫をたくさん吸い込まないようにするのに十分な効果があるのです。
だた、これだけでは大きな飛沫は防げません。
大きなアクリル板で防ぐという手もあるのですが、大きな声は避けて優しい声で、できることならマスクをかけて会話して頂ければ、それだけで大きな飛沫は生じないのです。
私としてもせっかくの憩いのひとときが刑務所の面会のようになってしまうアクリル板は避けたいので、ぜひともご協力のほど宜しくお願いいたします。
 
さて、再び話は変わりますが私はカスタードが大好きです。
以前このエッセイで「私を鬼退治のお供にしたければきびだんごではなく福砂屋のカステラを持ってくればいい」といった感じのことを書いたように大のカステラ好きなのではありますが、カスタードもそれに劣らず大好きなのです。
そもそもカステラだってざっくりいってしまえばカスタードを固体にしたようなものですし、カスタードだってカステラを液体にしたようなもの。
好みとしては一貫していると言ってもいいでしょう。
ただ、カステラは福砂屋が1番であると決まっているのに対して、カスタードにはまだ1番が決まっていません。
クリームパンだろうとシュークリームだろうと分け隔てなく大好きなのですが、まだ「○○が1番好き」というのが決まっていないのです。
もし、私の好みにぴったりのカスタードを紹介して頂けたら、鬼退治どころか魔神ブウ*との対決にだってお供致します。
今後地球存亡をかけた戦いに挑む可能性のある方は、美味しいカスタードを探しておくと、いざという時に多少は役に立つかも知れません。
*魔神ブウ;ドラゴンボールに登場する、地球人を一瞬で壊滅させるほどの超悪役。興味のある方は店内にある漫画を参照のこと。
 
そしてカステラ&カスタードと言えば今月中旬頃の「フルーツサンドパフェ」。
まだどんなパフェにするか決めていないのですが、先に挙げた私の嗜好からするとカステラの間にカスタードクリームを挟んだタイプのパフェにする可能性が高いような気がします。
カステラは卵黄リッチにして濃い味わいにするか、それともハチミツを使ってしっとりさせるか。カスタードはバニラやバターを使った正統派で行くか、レモンなどの柑橘を使ってさっぱりと行くか。
大好きなだけに妄想が止まらず、作り上げるのに大分苦労しそうな予感がします。
 
最近毎月のように書いていますが、二週間毎に、時には毎週新作のパフェを作り続けるのは大変なこと。
奇をてらわず、それでいて何か新しい味わいを生み出すように心がけているのですが、長年やっているとさすがに組み合わせも底をついてくるもの。
もし私がイギリス人ならば「パフェをコロコロ変えるようじゃ何も身につかない」と紅茶のパフェに絞って紅茶パフェ界の世界的権威を目指したかも知れませんが、あいにく私は清き水の流れる日本の生まれ。
アメリカ風に「常に新しいパフェを作り続けていれば頭はボケない」と考えて、新作を作り続けることにしましょう!!
 
と威勢よく感嘆符を重ねましたが、これから季節は冬。パフェを食べるにはちょっと厳しい季節かも知れません。
しかし、工夫を凝らして店内を暖めておきますので、私のボケ防止のためにも、ぜひパフェを食べに来て頂きたい! 



KURIKURI