240号の当選番号は 042 098 136 150 175 です。

ハイジャック的な


もう終わった話ですが、先月末につくった「紅茶とリンゴのパフェ」はやりすぎました。
生リンゴのスライスにシャーベットに焼きリンゴにワイン煮にカラメルジャムというあたりまではまぁ普通だったのですが、問題は紅茶。
当店は紅茶の種類も専門店並みに取り揃えていますから、そのリンゴに合わせた紅茶にしようと思い立ってしまったのです。
最終的にシャーベットには当店オリジナルの「甘い香りのチャイ」のアイスクリーム、焼きリンゴにはこれまた当店オリジナルのレモンティブレンドのゼリー、ワイン煮にはすっきりとした香りのヌワラエリヤのカスタード、
カラメルジャムには太い香りと深い渋みを持つアッサムのプリンを合わせたのですが、そこにたどり着くまでの道が遠かった。。。

話は変わりますが、「24時間戦~えますか♪」という文字を見てそのCMソングが思い浮かぶでしょうか?
たぶんそれができるのは40代以上の方だと思いますが、当時はなかなかすごい時代でした。時はバブル末期。
私はペーペーの新入社員でしたが、残業休日出勤は当たり前で、深夜だろうが休日だろうが会社に顔を出せば必ず誰かがいるというオソロシイ状況だったのです。
そんなわけですから新人といえどもなんかやらなきゃマズいだろうと、他事業部の解析プログラムを持ち出して自宅のパソコンで三か月ぐらいかけて自分のいる部署用に魔改造するなんてことをやっていたものです。
まぁ今そんなことやったらコンプライアンス的に各方面から突っ込みがきそうですが、とにかく当時は仕事をやるのが正義。
ちょっと上司を驚かすために何十時間もの仕込みをするのが当たり前だったのです。

そして話を戻して「紅茶とリンゴのパフェ」。
チョコや果物のように味のはっきりしたものなら脳内試作でかなり絞り込めるのですが、紅茶のように繊細な違いとなると実際の試作が欠かせません。
香りや味の系統別に絞り込み、濃さを数段階に変え・・・とまぁ時間がかかることこの上なし。
普段は夜11時以降は仕事をしないと決めているのですが、この時ばかりは禁を破って働きまくり。
脳内には先の「24時間戦~えますか♪」のCMソングがリフレインしまくっていたのです。
そしてその甲斐あって、紅茶とリンゴのパフェは大好評。
私が把握しているだけでも2回以上食べに来られたリピーターは15人以上、3回来られた方が7人もいるのです。
いやぁ頑張っただけのことはありました。

しかしその代償は大きかった。
「紅茶とリンゴのパフェ」が始まった水曜日、それまでちょっと鼻が詰まって声が変だったのでいつもの季節性鼻炎だろうと思っていたのですが咳がひどくなってきたのです。
数日前に受けた抗原検査で陰性だったので口を開けて寝ていたせいだろうと思っていたら、木曜日の午後になって急に寒気がしてきたのです。
昼の検温まではずっと平熱だったのが3時過ぎに測ってみると7度8分。
コロナかもしれないと急遽店を閉めてかかりつけ医のところに行くと、8度3分も熱があったため院内に入れず車内での診察となりました。
そして診察結果は「細菌性の気管支炎」。
このお医者さんには以前2回肺炎でお世話になっていたのですが、その2回ともが細菌性の肺炎であったこととまだ深く呼吸ができたことから、この診断となったようです。
一応念のためにPCR検査の予約を取っていただき、抗生物質の処方をいただいて帰ったのですが、この薬が効きました。
翌日には平熱近くまで熱が下がったのです。
ただ、コアラの如く*いくらでも眠れたのとまだ咳が残っていたので、疲れているのだろうと判断して金土日とお休みをいただき、もともと予定してた連休と合わせてKURIKURI初の5連休と相成ったのです。
(*:コアラの平均睡眠時間はナント1日22時間!)

とまぁこんなことを書くと「大変なんですね」と言われちゃいそうですが、まったく大変じゃないんです。
いや、もし私の仕事が新作パフェを開発して作るだけの仕事だったら大変だったかもしれません。
しかし、私にはそのパフェをお客さんのもとに届けるという仕事もあるのです。
パフェを届けたときにお客さんの笑顔が弾ければ心の中で「笑顔、獲ったど~」と盛大にガッツポーズをしますし、「美味しい♪」という声が聞こえればカウンターの裏で乙女の如くルンルンしているのです。
このエッセイだってネタが思いつかなかったり、パフェの締め切りと重なった時には苦悩の限りを尽くすのですが、席に着くなり読み始めてくださる方や、このエッセイをまとめた本を買ってくださる方までいるのです。
途中どんなに苦労しようとも報われるものは楽しいこと。
いや、どんなに楽しいことだって、途中に苦労がなければテレビに映った大自然のごとく心に残らないもの。
苦労のしがいのある仕事につけて本当にラッキーだったなと思っています。 とはいえ寄る年波には勝てぬもの。
若かりし頃には会社で残業しまくった翌日に子供たちを何十人も引き連れてキャンプに行き、帰った翌日からまた残業にまみれても疲れたなんて感じもしませんでしたが、今はそんなことを書いただけてがっくり疲れてしまいます。
何といっても50を過ぎてから二度も肺炎を患うほどの肺弱者。
音的には航空機を乗っ取る程の勢いがありますが、実態はただの虚弱体質。
今後も少し休みを増やしますが、末永く美味しいパフェを作るためには仕方のないことだとご了承いただきたい!




KURIKURI