241号の当選番号は 083 097 138 154 156 です。

見捨てること勿れ


これを書いているのは11月の末。
当初の予定では「三種のチョコとベリーのパフェ」の試作を行っている頃なのですが、急遽変更して「栗と紅茶のパフェ」の試作を行っています。
なぜ変更になったかといえば、とある方から「美味しいパフェに使ってください」と氷温熟成した栗をたくさん頂いたから。
「三種の・・」の次にするとクリスマスシーズンに入ってしまいます。
ならば今やるしかないでしょ!っというわけで、栗のパフェを作ることになり、旬の洋梨の香りに合わせるならダージリン紅茶しかなかろうとなって「栗と紅茶のパフェ」と相成ったのです。

さて、話は変わりますが中学受験の教え子を引き受けることになりました。
店で教えている家庭教師(店舗教師?)では中高生しか教えていなかったのですが、塾に頼らず頑張っているという話を聞き、つい引き受けてしまったのです。
しかし大人の知識を持った上で小学生のやり方で問題(特に算数)を解くのは大変です。
天才高校生探偵だった工藤新一が小学一年生のコナン君になってテストを受けてる時の気持ちがよく分かります。
いや、小学一年ならまだ手を抜けばいいからいいでしょう。
問題は高学年になって阿笠博士が彼を私立中学に入れようと考えたとき。
私立中学というのは恐ろしいところで高校受験並の問題を小学校の知識だけで解かせようとするのです。
方程式さえ使えば瞬殺できる問題を線分図や□だけで解くなんて、初期装備だけでラスボス戦に臨むようなもの。
私も最初は大いに苦しみました。
しかし慣れてくると制限プレイも楽しいもの。
特のこの受験算数が「和算」であることを知って楽しさは倍増。
和算とは江戸時代初期(ニュートンやライプニッツと同時期)に日本で独自に発達した数学です。
その水準は欧米と肩を並べる程高度なものだったのですが、特徴はその裾野の広さ。
欧米で数学は学者のものでしたが、和算は学者のみならず庶民のものでもあったのです。
そのため和算を教わった庶民が独自に考えた問題を神社に奉納し、その奉納された問題を別の人が解くというクイズバトルのようなことさえも行われていた程。
しかも単純に難解な問題を解くというだけでなく、一見難解な問題を誰にでもわかるようなシンプルな手法で解いた方が評価が高かったのです。
そんな江戸庶民の叡智を現代で楽しむチャンスなんて滅多にありません。
受験が終わるその日まで、教え子と一緒に楽しもうと思っています。

そして算数繋がりでいうと「キャッシュレス」。
当店では時代の波に逆らってキャッシュレスを導入していません。
理由の第一は手数料の高さ。ヨーロッパでは0.2%程の決済手数料が日本では3%程も取られるのです。
たかが3%という勿れ。
自営業の最終利益は売り上げの20%程。
そこから売り上げの3%ということは利益の3/20=15/100、すなわち15%を失うということ。
手取り年収300万円の人が「手数料」で45万円も引かれたらツライ事だと思いませんか?
それにキャッシュレスにすると売上日と入金日が異なるので経理が面倒になるし、何より「心」の交流がなくなるのがツライのです。
お金やスタンプカードの受け渡しには、財布を開いてお金やカードを探したり、おつりを計算したりスタンプを探したりといった一手間があります。
この一手間の中に人としての交流が有るんじゃないかと思うのです。
これがスマホをかざすだけで支払いからパフェスタンプまで完了してしまったら、そこに愛はあるのかと問いたいのです。
いやまぁ愛までは無くても良いかもしれませんが、ここは必要な物資を手に入れるところではなく心を満たす為の場所。
帰り際にちょっとした心の交流があった方がいいと思うのです。

そしてお金の話繋がりでいうと「物価高」。
業務用食材は夏あたりからじわじわ上がってきていたのですが、これから年始にかけて乳製品やチョコレート類が爆上がりするというのです。
今までの値上げ分くらいなら組み合わせなどを工夫する事で美味しさを落とさずコストを維持できたのですが、さすがにもう限界です。
年明けあたりからちょっとだけ値上げする事になるのをお許し頂きたい。

さて、こんな暗い話ばかりじゃ楽しくないのでパフェの話に戻りましょう。
文頭の話で気になったと思われるのが「氷温熟成」。
栗に限らず植物一般は外気温が0度程になると細胞を凍らせない為に内部のデンプンを糖に変える性質があります。
この氷温で寝かす事によって栗はより一層甘くなり、蒸したときにしっとりと炊きあがるのです。
その結果栗のペーストを作る際に使う砂糖や水分を減らす事ができ、より風味の強いペーストができるというわけ。
そして今回のパフェのもう一つのポイントはメレンゲ。
本来メレンゲは砂糖で形を保つのでとっても甘い物なのですが、その甘さでは栗の甘みを邪魔してしまいます。
そこでちょっとした工夫で甘みをぐっと抑えたメレンゲを作ったのです。
これに柚子を少々加える事で栗の香りをぐっと引き立てつつ、食感のアクセントにもなるという優れもの。
さらにメレンゲが優秀なのは体積あたりのコストが安い事。
美味しさをアップさせつつもコストを抑えるという物価高時代の救世主。
こんな工夫を次々に生み出して、これからもお手頃価格で美味しいパフェを作っていきますので、ちょっとくらい値段が上がっても見捨てずにご賞味頂きたい!




KURIKURI