Vol.9 2002.9.1 この号の当選番号は121と140です。
秋といえば・・・
秋といえば、おもむろに読書に燃え始める人もいるでしょうが、やっぱり食欲の秋でしょう。
だいたい秋になったからといっておもしろい本が増えるわけではないのに対し、秋になればあちこちにおいしいものが満ち溢れ、雑誌を見てもテレビを見てもおいしそうなものが目白押しです。
そこで早速巨峰のかき氷を食べに行ったのは表にヨメさんが書いたとおりなのですが、久しぶりに外でかき氷を食べていたら、かつての苦しい記憶がよみがえってきました。
会社員時代、会社で一番働かない社員だった私は自分が働かないだけでなく、昼に後輩を道連れにして外食する(たいていの場合時間内には帰ってこない)という悪行を重ねていました。
このときよく誘っていたのがうまいものに目がないTというでかい男で、「うまい店がある」という噂を聞くとまずこいつを誘って出かけていました。
そしてある時、太平町にある「ハリンダール」というインド料理の店に行ったのですが、ここのカレーが絶品な上に食べ放題だったのです。
スパイスが丸ごと入っていたりする二種類のカレーに焼きたてのナンとターメリックライス、それにちょっとスパイスの利いたサラダ、どれもがおいしくて二人して張り合う様にして食べ、四回くらいはお代わりしました。
そして満腹になって店を出たのですが、蒸し暑い車に乗り込んだとたんTが「甘党屋のかき氷がすごくうまいらしいですよ」と、挑発するように囁いたのです。
「お腹いっぱいだから次にしよう」と言えばいいものをつい「よっしゃ!行ってみよう!」と言ったのが間違いでした。
確かに甘党屋のかき氷はおいしかった。
さらさらのきめの細かい氷なのに口に入れるまでは決して溶けず,そのくせ口に入れた瞬間に「フッ」と溶けていく氷はこれまでに食べたことのない絶妙の感触でした。
しかし、本格カレーを腹一杯食べた後に、しかも器からあふれんばかりに山盛りになってる宇治金時なんかを食べるものではありません。
昼休みを一時間近くオーバーして会社に帰った後、鼻歌交じりに仕事を始めるTを後目に自分専用の実験室に鍵をかけて閉じこもり、一時間ほどお腹を抱えて唸っていました。
自分は決して若くはないと悟った三十の夏のことでした。
さて、秋といえば栗の季節です。そしてKURIKURIでは栗のアイスの季節でもあります。
栗と砂糖と牛乳と生クリーム、それにちょびっとコニャックを垂らすだけで作るシンプルなアイスクリームです。
ただ、シンプルと言っても、作るのは結構手間です。
蒸した栗を二つに割って中身を掻き出して裏ごしするのですが、この作業では裏ごし器が一週間で破れてしまうほど力がいるのです。
だからこの栗のアイスは超季節限定です。栗のパフェとして出すのか、はたまたデザートに添えるアイスとして出すのかはまだ未定ですが、もし見かけたら早めにお試しになることをお勧めします。
そして、もしかしてこれを読んだ時点でもう終わっていたら・・・・・・・・・・・・
申し訳ありませんが、来年をお待ち下さい。