Vol.15 2003.3.1 この号の当選番号は006と113です。
モノより想い出?
身を切るような冷え込みはすっかり影を潜め、外を歩けば風の中にふと春の薫りを感じる季節になりました。
去年の今頃は「学校五日制を何とかせねば!」と鼻息も荒く、五月に開いた土曜日学級の準備やら教育関係論文の投稿やらと耳からピーピー煙を噴きながらジタバタしていましたが、今年は少しのんびりしています。
無論学校五日制をたわけだと思う気持ちに変わりはないのですが、そのたわけから守る対象を、これからしばらくはずっと小さくしてウチの娘を中心に考えていこうと思うのです。
そのため4月に娘が入学してから6年間は定休日を金曜日と第三土曜日にして、親として出来るだけのことはすることにしました。
本来ならば毎週土曜日を休みにするべきなのですが休日にしか来られないお客様も大勢いらっしゃいますし、何より休日の売り上げを犠牲に出来るほど我が家の家計に余裕はないのです。
まぁ、この変更でも月の営業日が休日一回分減るので経済的には大変なのですが、モノよりは想い出に重点を置いて、鉄腕Dash(NTV)の茂子の家庭のように楽しんでいこうと思っています。(註:やはり土曜日休みには無理があったので、現在は金曜日だけの定休に変わっています)
さて、話は変わって先月のことなのですが、バレンタインということもあって当店で使っているチョコレートについてたくさんの問い合わせを頂きました。
当店で使っているのは以前にも書いたようにベルギー産なのですが、正確にはベルコラード社のアメール・ダーク・クーベルチュールチョコレートという品名になります。
この近くでは錦町郵便局そばの「イトウ」というところで手に入ります。表側は事務所ですが裏手で製菓用品の小売りをしていますので、そこで「KURIKURIで使ってるチョコ下さい」といえば小分けにしたものを売って貰えます。
値段は製菓用としては結構高い部類ですが、別に目玉が何メートルも飛び出すほどのものではなく、普通に売っている板チョコより少し高いくらいです。
また、生チョコなどの細かな製法につきましては私(マスター)にお尋ねください。
ところで、日本産のチョコレートにも様々な味と香りがあるのだから「○○産」といってもあまり意味がないのではと考える方もいらっしゃると思います。
しかし、あくまでも個人的な主観ですが、これまでの経験上国によってチョコレートの味や香りには傾向があるように思います。
例えばフランスのチョコは一般的に味にやや酸味があり、香りはとても強くてシャープです。又スイス産は舌にのるのを待ちきれないほど滑らかにとろける口溶けとやや強めの甘みに特徴があります。
そして、ベルギー産には香ばしくてふくらみのある香りとしっかりとした腰のある苦みがあり、この香りと苦みがあるおかげで菓子職人としての修行経験のない私でもガトーショコラにしても生チョコにしてもアイスクリームにしても、しっかりとチョコレートの力強い風味を出すことが出来たと思っています。
そんなわけで、人よりおいしい手作りチョコで彼のハートを射止めようと思っている方は、来年のバレンタインにはベルギー産のチョコレートをお使いになることを強くお薦めします。
しかし、よくよく振り返ってみると私にはバレンタインに真剣な「告白チョコ」を貰ったことがありません。
唯一真剣だったのは、高校時代にちょっと気になっていた女の子から「ワタナベくんに渡してください」とかわいい包みを渡された、というほろ苦い想い出があるだけです。
一度しかない青春、こんな苦い想い出はいらないから「モノ」が欲しかった・・・・・。