Vol.18 2003.6.1 この号の当選番号は058と139です。
ゆとりを楽しむ
先日とある小学校のPTAに招かれて、紅茶教室を行いました。
内容は、紅茶の歴史や淹れ方などの話をした後、グループ毎に様々な種類の紅茶を渡して銘柄当てゲームをするといった感じです。
久しぶりの紅茶教室なので、参加した人が充分に楽しめたかどうかはわからないのですが、少なくとも私にとっては実に楽しいイベントでした。
私は何といってもこの「人前で話す」というのが楽しくてたまらない人なのです。
会社員時代も、年に何度かお偉いさん達の前で行う「研究テーマ発表会」などでは、他の同僚達が「これさえなければなぁ」と戦々恐々としていたのに対し、私は「これがなくっちゃ!」とワクワクしていたくらいです。
そしてテーマ発表会の前の資料作りでは同僚達が出来るだけつっこまれないように完璧なものを作ろうと悪戦苦闘しているのを横目に、「ここいら辺をつっこませるとカッチョイイ答弁が出来るな」などと考えながら巧妙に隙を隠した資料づくりをしていたものです。
そして発表会でその隙さえも見つけることが出来なければ私の圧勝、その隙だけしかつっこまれなければ勝ち、またそれ以外の所をつっこまれたとしても焦らず完璧に答えることが出来ればドロー、少しでも焦ったり完璧に答えることが出来なければ負け、そしてもし予想外のツッコミで答えることさえ出来なければ完敗、などと勝手に決めて勝負を楽しんでいました(ただ、これは後に手の内がばれてどえらい目にあったので、人にはお勧めできませんが・・)。
さて、その紅茶教室の資料づくりをしていて気になったのが「イギリス人は本当においしいお茶を飲んでいるのだろうか?」という事です。
イギリスに行った日本人の様々なエッセイを読んでみると「うどんのように煮込まれたスパゲッティ」だの「身が崩れたソーセージを押し込んだホットドッグ」だの「お腹がすいていたにもかかわらず、一口食べたらみんなの手が止まってしまったフィッシュ&チップス」だのと食についてはろくな事が書かれていません。
ただ、その中でもアフタヌーンティについてだけは悪く書かれることがなく、中には「これだけがイギリスで唯一おいしいといえる食べ物だった」とまで書かれていたものもあったくらいですから、スコーンを始めとしたアフタヌーンティのセットやそれと共に出される紅茶はきっとおいしいのでしょう。
・・・・・とはいえ私はかつて、置いてある料理が全て不味いというとんでもないバイキングのお店で「人生最高においしい」と思ったパイナップルを食べたことがあるので単なる比較の問題なのかもしれませんが・・。
それでもイギリスの中でアフタヌーンティがおいしいのは、イギリスのレディ達がゆとりのなかで会話を心おきなく楽しむためにあるからなのでしょう。
サンドイッチとケーキとスコーンが一つにセットされているのは、ホストがそれぞれを上げ下げして会話がとぎれることがないように、そして紅茶が一人二杯半分もポットに入れて供されるのもおなじ理由によるものでしょう。
こうやって、とことん会話を楽しもうという心意気が「美味砂漠」といわれるイギリスの中に一輪の花を咲かせたのだと私は思います。
さて、ゆとりを楽しみたいのはイギリスも日本も同じ事。
KURIKURIの「午後のお茶セット」もアフタヌーンティと同じゆとりを楽しむ仕掛けがあります。
それは「二杯目以降100円」サービスです。
お茶のお店として、ポット出しでぬるくて渋いお茶を飲んでいただくわけには参りませんので、二杯目以降のストレートのお茶を全て100円にしています。
一杯目はミルクティ、二杯目はダージリン、三杯目はエメラルドマウンテンと注文しても、全てベストの状態で飲むことが出来て、しめて1050円なり。
ゆっくりと贅沢な時間をお過ごし下さい。