Vol.24 2003.12.1
この号の当選番号は026と169です。
ビバ・オークラ!
先日東京に行ってきました。ヨメさんの方は雑貨の買い出しなどで行くこともあったのですが、私の方は店を始めて以来縁がなく、久々の遠征でした。
目的は「ケーキの研究」のため・・・ではなく、とある懸賞論文の授賞式のためでした。
といっても、一席ではなく二席入賞だったので、普通ならわざわざ東京まで出かけることはありません。
たまたま授賞式が定休日だったからとはいえ、休日も珈琲豆の焙煎やケーキやデザートの仕込みがあるので、遠路はるばるお江戸まで出かけている暇はないのです。
にもかかわらず、わざわざ夜明け前に起き出して仕込みを済ませ、いそいそと出かけたのは訳があります。それは・・・
授賞式の会場が「ホテル・オークラ」だったからなのです。
オークラといえば近所に大使館が建ち並び、国賓クラスのVIPが泊まるホテルです。
もしかすると、どこぞの国のお姫様が偶然にハンカチを落とし、禁断のロマンスが一つや二つは生まれるかもしれないし、なんといっても授賞式後のパーティーで「うまいものを食わせてくれそう」ではないですか!!
そんなわけで、オークラのボーイさんにつまみ出されないように大昔に仕立てたスーツを着込み、思わず靴を脱いで乗りそうになるほどピカピカでビーアンビシャスな「のぞみ」に乗りこんで、行ってきました大江戸八百八町。
高村智恵子が「東京には空がない」と言ったのは半世紀以上も昔の話ですが、今の東京には風景というものが全くありません。
新橋から東京タワーを目指せば近くまで行けるだろうと目論んでいたのに、タワーの先っちょどころかボルト一つ見えやしないのです。
おまけに曇っていたので太陽の位置もわからず、誰かに道を聞こうとキョロキョロしていたら外人さんに道を聞かれるし・・・・。
そんなこんなでたどり着いたホテルオークラ。
いやはやさすがにホテルオークラです。
正面にはハリウッドスターか叶姉妹くらいしか乗らないような長〜いベンツが鎮座し、ベルボーイは何処の言葉とも知れない言語を使って異人さんと会話し、地下では値段の見当もつかないようなホワホワのコートをまとった老婦人がこれまた値段の見当がつかないようなお店で値札も見ずに買い物をしていました。
そんなホテルオークラの「エメラルドの間」で授賞式は執り行われたのです。
そこでまず主催者の挨拶から始まったのですが、学生時代から前に人が立って話し始めると眠くなるクセを持っている私は、案の定重くなる瞼と格闘し始める羽目になったのです。
そこで眠気覚ましに前に置いてあったオレンジジュースを飲んだのですが、重たい瞼を目ン玉が突き破りそうになるくらい驚きました。
口に含んだ瞬間に、絞りたてとしか思えないフレッシュな味と香りがひろがったのです。
これがもし、洒落た形のグラスでカットオレンジやハイビスカスが飾ってあったのなら、私もそこまでは驚かなかったことでしょう。
しかしグラスというよりコップに近い何の変哲もないグラスに、飾りどころかプラスチックの蓋がのせてあり「飲みたかったら飲んでもいいけど、別に飲まなくてもいいからね」と言わんばかりに無造作に置いてあったものだったのです。
さすがオークラ、侮れない!
その後のパーティーも凄かった。
立食とはいえ会場には板前さんとシェフがおり、その場で大トロの握りとかフォアグラのソテーとかを作ってくれるのです。
その全てがまた美味しいことっ!
そのパーティーの間だけで落としたほっぺは数知れず。
しかもその料理を運んでくれるコンパニオンの方達は帰りの新幹線で伸びた鼻の下を戻すのに苦労しまくったほどの美人揃いでしたし、他の受賞者の方達も個性派揃いで実に楽しく、本当に充実した一日を過ごすことが出来ました。
この日の素晴らしい体験は、今後のランチやデザートに活かしていく予定です。お楽しみに!!