Vol.37  2006.1.1  この号の当選番号は006と137です。

 明けましておめでとうございます


世間的には何かと気ぜわしい師走も過ぎてちょっと一息ついた頃ではないかと思います。


KURIKURIもお店的にはやたらとケーキを焼きまくったクリスマスを過ぎてちょっと一段落の頃なのですが、受験生の教え子を抱えている私は個人的に結構大変です。

センター試験が終わった直後から二次試験用の頭に切り換えるために作戦をあれやこれやと練らねばならず、頭の中は結構大騒ぎ。

お師匠さんが走らなければならないのは十二月だけではないのです。


と、頭の中が家庭教師になっているのでつい勉強ネタを書きそうになってしまいますが、ここはお菓子やケーキのエッセイを書くところ、何とかお菓子ネタにつなげなければなりません。


店を開いた当初の一時期を除き、十八歳から受験生の家庭教師を続けてきた経験から言うと、お菓子づくりと受験生には共通点が一つあります。


それは「元がいいほどよくするのが難しい」という事です。


受験生の場合、もともとの成績が悪い子はやる気になった瞬間から大きく伸ばせるものですが、ある程度いい成績を取っていると伸ばすのが困難です。

これは伸ばすにも限界があるという事もあるのですが、たいていの場合それまでやってきた勉強法でうまくいっていただけに、新しい勉強法に変えられず伸び悩むのです。


これに対してお菓子の場合「元がいい」わけではないのは「お菓子の本」などの一般に売られているレシピです。

これらは普通に販売されている材料で作ることを前提に書かれていますから、そのまま作っても結構美味しいですし、素材をいいものに変えればそれだけ美味しくなるものです。


それに対して「元がいい」というのは一流店のレシピです。

一流店のレシピは、当然ですが一流の素材で作られていますから、その素材の良さを最大限に活かすように作られています。

そして一流の素材というものは、大抵強い個性を持っているものです。

このため、例えばフランスのヴァローナ社のチョコレートで作っているガトーショコラのレシピを、当店で使っているベルギーのベルコラーデ社のもので作っても、思ったほど美味しくはならないのです。

そして、これを更に美味しくしようとすると、結局別の調合で別のおいしさを追求することになり、元のレシピから随分とはずれてしまうのです。


やはり一流店のものは作ろうなどと思わずに食べに行くべきなのでしょう。


・・・・・・とは言ったもののKURIKURIもお忘れなく!

!一流の腕はまだありませんが、オリジナルの「ほっとするおいしさ」では余所には負けませんから!!


KURIKURI