Vol.41 2006.5.1 この号の当選番号は090と113です。

Simple is ・・・

インターネットの力はすごい。

三月にホームページを立ち上げ、四月号で告知して以来多くのアクセスを頂いたわけですが、その結果写真が載っている商品の売り行きが明らかに上がったのです。

特にカボチャのタルトと紅茶のパフェは夕方に売り切れてしまう日が続出するほどでした。

又、おまけで載せた小説の方も感想メールや掲示板への書き込みを頂き「作者の喜び」に浸ることもできました。

しかし、初めてのホームページですので失敗も多く、特に「おいしい香りの喫茶店」での検索は4/16前後の数日間、このキーワードでの検索ができず、多くの方に迷惑をかけてしまいました。

これはgoogleなどの検索ロボットに登録されるために色々と工夫を凝らした結果、色々やり過ぎて検索ロボットに不良ホームページと判断され、一旦登録したものが抹消されてしまったからなのです。

私としてはお客様が検索しやすいようにと色々手を尽くしてみたつもりだったのですが、後から調べてみるとその方法は、かつて悪質業者が検索ページの上位に自分のHPを持ってこさせるために使っていた手口と同じだったのです。

最初にやった方法でもちゃんと登録できていたのですから、そのままそっとしておけば良かったものをわざわざいらん手を尽くしたために、検索できなくなってしまうという最悪の逆効果。

まったくもって「過ぎたるは及ばざるがごとし」というヤツを地でいっています。

そしてこの「過ぎたる・・・」は、お菓子づくりにおいても真実です。

私は新作のケーキやデザートを作るとき、いつも「これもやってみよう」「あれもやってみよう」とあれこれ色々なものを足し、結局わけが分からなくなって一から出直すことがよくあります。

例えば今回初挑戦する抹茶と小豆のクレープも、最初あり合わせのもので試作した時点で充分においしかったのです。

それをつい「あれを足したらもっとおいしくなるかも」と、色々なものを足していったためにだんだん味のポイントが無くなってしまいました。

結局もとの組み合わせにちょっとだけ変化を加えたものに落ち着いたのですが、やはりおいしい素材にはあまり手を加えるべきではないようです。

よくよく考えてみればKURIKURIのケーキはどれも一度は複雑な組み合わせにチャレンジしていますが、結局極めてシンプルなものばかりが残っています。

と、お菓子づくりにはシンプルが一番なのですが、実生活においてはそうとばかりもいえません。

大学時代、友人に誘われて一泊二日の合宿に行った時のこと。

季節は冬、しかも一泊二日。「荷物なんかいらないじゃん」と判断した私はポケットにトランクス一枚と歯ブラシをつっこみ集合場所へと向かったのです。

ところが集合場所についてみると、みんな一泊二日だというのに荷物のデカイこと。

しかし、よくよく考えてみれば時はバブル期真っ盛り。

色気づいた大学生連中が、買い集めたおしゃれグッズの数々を披露するチャンスを逃すはずがなかったのです。

結局私はその二日間「ビンボー&汚れ」キャラとしてイジられまくる羽目になり、理系学生にとって貴重な「ラブ・チャンス」を棒に振ってしまったのです。

素材に問題がある人間の場合、あまりシンプルにしすぎない方がいいようです・・・。


KURIKURI