Vol.47 2006.11.1 この号の当選番号は106と156です。
季節は巡る
秋風の中に冬の気配が紛れ込み、紅玉リンゴが出回る季節になりました。
他の「つがる」などの品種が年中出回っているのに対し「紅玉」は本当に短い期間しか出回らない季節感溢れるリンゴです。
そして、この紅玉は生で食べるにはちょっと酸っぱいのですが、お菓子にするとこの上なくおいしくなるリンゴでもあります。
一番のおすすめは「焼きリンゴ」。
上から芯をくりぬいた紅玉に、レーズンや杏のドライフルーツにシナモンと三温糖を詰め込み、上からタラリとブランデーを垂らしたら、上にちょこんとバターを乗っけてオーブンへ。
しかし、ここから先がちょっとした地獄です。
腹の虫をライオンに変えるほど猛烈にいい香りが漂い、生焼けでもいいからかぶりつきたいという欲求と格闘しなければなりません。
そして己との闘いにぐったりと疲れ果てた頃、そんな思いをつゆ知らぬ電子音が軽やかに鳴り響き、やっと焼き上がりです。
アツアツにバニラアイスなんかを添えて食べれば気分は極楽。
地獄から極楽への特急ツアー、ぜひ一度お試し下さい。
さて、KURIKURIでの紅玉デザートと言えば「リンゴのムース」。
皮と一緒にワイン煮にした紅玉と紅茶ゼリーの相性は抜群です。
そして今年は中津川の方からおいしい栗をたっぷり頂いたので、贅沢にも栗のアイスを乗っけちゃうことにしました。
ふんわりとふくらむ和栗のやさしい香りと、キリリと引き締まった紅玉の酸味、日本の秋の醍醐味をぜひお楽しみ下さい。
さて、秋といえば読書の秋でもあります。
私の場合年中本を読んでいるので季節なんか関係ないのですが、今年の秋は読んでいる本が違います。
「詳説・日本史研究」。大学受験用の中でも一番ブ厚い参考書を選んで買ってきたモノです。
きっかけは「アンタッチャブル」。
お笑い大好き人間でありながら、先日どうしても「アンタッチャブル」という名前が出てこなかったのです。
確かに昔から人名を覚えるのが苦手で、モーニング娘なら初期メンバーからすでにアヤシイくらいなのですが、四十を過ぎてからというものやたらと「アレ」や「あの人」が多くなり、ついには好きな芸人の名前さえも言えなくなってしまったのです。
そんなわけでやたらと人名がでてくる日本史を勉強することにしたのですが、ただ漠然とやっても眠いだけ。
やるからには目標が必要です。そこで決めた目標はズバリ「センター試験百点」。
去年獣医志望の教え子に「社会科なんて上手に勉強すれば百点くらい必ず取れる!」と言ってシゴいた以上、中途半端な点を目標にするわけにはいかないのです。
とはいえ、実際に試験を受けに行くわけでなく新聞に載った問題を自宅で解いて自己採点ですから、限りなくアバウトな試験時間と阿弥陀様より心優しい採点官。
例え満点取れたとしても、とても公式記録として自慢できるようなシロモノではありませんが・・・。
一応結果は二月号で小さく報告する予定です。
しかし、よく考えてみれば今より遥かに記憶力のあった高校時代でさえ社会科で満点を取ったことはないのに、たった二・三ヶ月で満点を取ろうというのは無謀にも程があります。
人生の秋を前に、何とか青春の春風を感じようとする哀しいオヤジ心というものなのでしょう。
デザートに季節感は盛り込めても、自分の人生には季節感を盛り込めないマスターなのでありました。