Vol.76 2009.4この号の当選番号は059と076と131と163と178です。
アポロエクササイザーというトレーニングマシンをご存知でしょうか?
無重力空間における宇宙飛行士の筋力維持のためにNASAが開発したというこのマシン。
今から三十年ほど昔「リングにかけろ」という漫画で、中学生ボクサーが対戦相手を体育館から吹っ飛ばす「ギャラクティカマグナム」というパンチをこのマシンでトレーニングすることによって会得したという、当時の青少年にとっては夢のようなマシンだったのです。
このマシンはその漫画が載っていた少年ジャンプの通販コーナーで販売されていて、当時モヤシっ子の中学生だった私もこの漫画を読んで欲しくて欲しくてしょうがなかったのですが、さすがに中学生のお小遣いで買えるようなものではありません。
そこでやむなく、主人公が最初の必殺パンチ「ブーメランフック」を会得するのに使った「パワーリスト」なるものを同じコーナーで買う事にしたのです。
このパワーリスト、名前はかっこいいのですが実態はただ手首に巻きつけるオモリです。
袋状になったリストバンドに厚さ2ミリほどの鉛板をぐるりと入れ、手首に巻きつけて生活するだけ。
これで日常生活全てがトレーニングになるというふれこみだったのですが・・・はっきり言って邪魔でした。
考えてもみてください。
手首にぐるりとごっついバンド。
ヘビメタ青年が手首にとげのついたリストバンドを巻いたまま日常生活を送るようなものです。
しかもそれがちゃんとトレーニングになればいいのですが、鉛の板と手首の間は薄っぺらい布が一枚あるだけ。
主人公のまねをして「ブーメランフック」と叫びながらパンチを繰り出そうものなら鉛の板が骨を直撃、悶絶したこと数知れず。
きっとひ弱だった主人公がチャンピオンになるまで成長できた秘訣は、どんなに殴られても耐えられるほど痛みに強くなったからに違いない!!
そんなわけでパワーリストはあっという間に押入れの隅に追いやられたのですが、
ますます欲しくなってしまったのがアポロエクササイザー。
「あ・・あれさえあれば、ひ弱なボクだってきっとムキムキのタフガイになれるのに・・・」と星に向かってため息をつくこと幾星霜。
夢が叶ったのは高校生になってから。
別の雑誌の通販コーナーでアポロエクササイザーと全く同じ形のトレーニング機器が、ほぼ半額で売られているのを発見したのです。
そこでお年玉をはたいて購入したのですが、届いたマシンは何かしょぼい。
長さ20センチほどのシリンダーから木綿のロープが二本出ていて、その先に握るための木製バーがついている構造は漫画と瓜二つなのですが、全体からなんともいえないオモチャっぽさが漂ってくるのです。
それでも気を取り直し、説明書に従ってトレーニングを始めたのですが、実に楽しくありません。
普通トレーニングといえば、重いものを持ち上げたりバネを引っ張り伸ばしたりすることで何らかの達成感があるのですが、このマシーンはバーを引っ張るととロープが引きずり出されてくるだけ。
音も「スリスリ」とも「シュルシュル」ともつかない間抜けなもので、気合が入らないことこの上なし。
しかも意地になって続けていたら、ロープが擦り切れてケバだってくるだけでなく、動きもなんかギクシャクと・・・。
結局ギャラクティカマグナムを放てるほど強くはなれませんでした。
このように少年時代の通販には苦い思い出が多いのですが、最近は通販の質も向上したのか、便利な機器や美味しい食べ物を買って楽しんでいます。
特に最近のチョコレート系デザートの開発には、お取り寄せのチョコが大いに役立っていますから、KURIKURIの美味しさにはもう通販は欠かせないものになっています。
そんなわけで、KURIKURIでも通販を始めることにしました。
まぁ、そんなに大量に売る気はないのですが、KURIKURIを開店して十余年、遠くに引っ越していったお客さんやブログで知り合った方々からのリクエストもあり、HPに地味に通販のページを追加することにしたのです。たぶん今月半ばには始まっていることと思います。
「おいしい香りの喫茶店」で検索してみてください。
・・って言っても、今ここで読んでいるお客さんに通販の必要はないか・・・。