Vol.80 2009.8この号の当選番号は046と057と068と091と162です。
君は雪舟だったのか by役所広司
夏です。これを書いている時点では豪雨情報一色ですが、これが読まれる頃には鬱陶しい雨雲もどこかに行って、流れる汗で地面に絵が描けるほど灼熱の日々になっていることでしょう。
で、そんな夏真っ盛りになっても私(マスター)の肌はきっと真っ白なまま。
太陽に縁がないマスター稼業のせいと思うかもしれませんが、親子劇場で子供たちをキャンプに連れて行っていた会社員時代も、川遊びをしてると子供たちから「水の中のクリさんの足って死人みたい」と言われたほどの天然漂白男。
焼けども焼けどもすぐ戻り、男らしい褐色の肌にはなれない青瓢箪なのです。
色白ならばウエンツ瑛士のような欧米顔か、せめて和洋折衷の顔であればいいのですが、口の悪い友人からは「白いインド人」と呼ばれるほどのアジア顔、和洋どころか和印折衷とも言うべき中途半端さ。
男前への道は天竺よりも遠そうです。
さて、そんな天竺からやってきたカレーも日本では白いゴハンに良く合う日本食に変えてしまう日本人。
シルクロードの果てからやってきた西洋料理ですら「洋食」としてゴハンをおいしく食べるためのおかずに変えてしまっています。
かつて芥川龍之介が日本人には「つくりかえる力がある」と評したように、日本人は様々なものを自分たちの生活風土に合わせて作り変えているのです。
ケーキの世界でも和洋折衷は盛んで、味噌やしょうゆを使った洋菓子は次々に開発されていますし、抹茶を使ったケーキはヨーロッパでも広く受け入れられているようです。
ちなみに、チーズやバターを多用する洋菓子に抹茶が良く合うのは科学的にも理にかなった話で、チーズやバターに含まれる動物性の旨み成分はお茶に含まれる植物性の旨み成分と一緒になると足し算ではなく掛け算で旨みが増し、飛躍的に旨みを感じるようになるのです。
そんなわけで、旨みに目覚めたヨーロッパ人も和食の旨みを使った料理やお菓子の開発に乗り出し、和洋折衷ならぬ洋和折衷のおいしさが広まってきているのでしょう。
そして当然といえば当然ですが、当店でも和洋折衷のおいしさはいろんな所で使われています。
和洋折衷の代表格ともいえるハヤシライスは、もともと西洋料理をゴハンに合うように早矢仕有的さんが考案したものですが、それをKURIKURIではさらに和風にパワーアップ。
薄切り肉を使う元祖ハヤシに対してKURIKURIではブロック肉をしょうゆと赤ワインで煮込むことで、動物性旨みと植物性旨みをミックスし、さらには日本生まれの乳酸菌飲料「カルピス」を隠し味に使うことで旨みに一ひねりも二ひねりも加えているのです。
そしてこの旨みたっぷりのソースをかけた上に、たまごとチーズを乗せて焼いた「焼きハヤシ」。旨みの上に香ばしい香りまで加わって、夏バテしそうなときでもきっとおいしく食べられるハズ!!
他にケーキでも和洋折衷の旨み技をいっぱい使っているのですが、それは又の機会においておくとして、どうにも気になっているのがこの「和洋折衷」という言葉。
漢字で書くと何の違和感もないのですが、耳で聞くとなんか気になります・・・・
その気になる原因をよ〜く考えてみると、思いついたのが「暗中模索」。
この言葉も耳で聞くとなんか変。都市伝説の類かもしれませんが、こんな話を聞いたことがあるのです。
国語の授業中、居眠りをしていた生徒が先生に「暗中模索の意味を言いなさい」と言われ、答えたのが「あなたはモサクじゃないですか?」
・・・・・・英語の時間から居眠りをしていたので「Aren't you MOSAKU?」と思い込んでしまったというのです。
モサクなんて名前の人がいるのか、と突っ込みたくなる話ですが、これと同じ香りが「和洋折衷」にもあるのです。
「
Were you SECHU?(あなたはセッチュウだったのですか)」・・・・・・・・
雪舟:室町時代の水墨画の大家。幼少の頃、悪さをして柱に縛られた時、流れ落ちた涙を使って足指で見事なねずみを描き、その才能を認められたと言う。
でも・・・・・なんでセッチュウなんだろう・・・・・・by ダ○ワハウス