Vol.81 2009.9この号の当選番号は043と046と075と137と189です。
開店12周年特別賞 012
知らぬが仏?
家族三人が二泊三日して24000円のホテルって、一体どんなところだと思いますか?
今年は娘にとって小学生最後の夏休み。
できるだけ希望をきいてやろうと尋ねたところ、行きたい場所は浅草で、できれば二泊三日で行きたいとのこと。
こう言われてよくよく考えてみれば、今まで二泊以上の旅行なんてしたことがありません。
旅行どころか九州への里帰りだって正月挟んでの一泊二日。連泊の旅行にあこがれるのも無理はありません。
そんな訳で今年の夏はちょっと気張って四連休を頂き、二泊三日の東京の旅へと行って参りました。
まぁ、旅先がどこであろうと我が家の旅は食べることが命。
一日目は途中のSAで揚げたコルネパンの中にソフトクリームが入っているコルネットを食べたのを皮切りに、浅草ではてんぷらなんかを食べ、浜離宮では抹茶と和菓子でほっこりとしてから六本木へ。
六本木ではミッドタウンで最新スイーツなどを見たり買ったりと、食べ物の情報を仕入れるために行ったのですが、何よりすごかったのは人間です。
夏だというのに銀河鉄道999のメーテルみたいに黒一色の長袖長スカートの人がいたかと思うと、「ここはビーチではありませんよ」と思わず注意したくなる程露出の多い人やら、24色の色鉛筆をぶちまけたようにカラフルなファッションの人までいます。
そしてビルの外に一歩踏み出せば、なぜか力士達が群れをなして闊歩しているし、その横を歩くスラブ系の美人はその力士達より背が高く、チラシを配っているニイチャンはどこから見ても国籍不明です。
そんな町の風景を眺めながら六本木ヒルズのオーガニックカフェで軽い夕食。
おしゃれな器に盛られた料理はどれもなかなかおいしかったのですが、私が一番気に入ったのは「鶏肉のきのこ包み焼き」です。
どんな風に包まれているのかと思っていたら、きのこは皮と身の間。
一見ただの鶏肉のグリルなのですが、ぱりぱりに焼けた皮の下にきのこが詰め込まれ、その旨みが身に染み込んで、なんともいえないおいしさなのです。
っと、ここまで書いて気がついたのですが、このペースでは二泊三日を書ききれません。
そんな訳で端折って書くと、二日目で一番おいしかったのは新宿高野フルーツパーラーのフルーツパフェ。
たっぷりと入ったフルーツそのもののおいしさもさることながら、シャーベットもまたおいしい!!
お値段はウチのパフェの倍以上しますが、新宿に行ったらぜひオススメです。
そして食べ物以外では東京タワー。
あまりにベタな観光名所なので期待せずに行ったのですが、昼は無骨な鉄の塊もライトに照らされた姿は神々しささえ感じるほど。
また、中に入ってみれば無秩序に広がる東京の夜景は、それが無秩序であるがために不思議な暖かさを感じます。
東京タワーは、スカイツリーができてしまえば遠からず取り壊されてしまうかもしれません。昭和の男たちが魂を込めて作った鋼のオブジェ。
目に焼き付けておくだけの価値はあります。
そして三日目の一番は、横浜中華街の四五六菜館。
「ゴチになります」でも使われたというだけあって、料理人の腕だけでなく素材のよさも感じるすばらしいお店でした。
さて、そんなおいしい三日間を過ごせたのも、一人一泊四千円という超リーズナブルなお宿があったおかげなのですが、そのお宿の名前は・・・・東京プリンスホテルです。
東京タワーのすぐ横にあり、レストランはもちろん地下ではショッピングも楽しめ、野外にはプールもビアガーデンもあります。
そして私達がとめた駐車場には名も知らぬ外車がずらりと並び、チェックインをしている時には隣で明日からシンガポールに行くという紳士が「東南アジアだとどんな一流ホテルでも虫がいて・・・」と嘆いていました。
そんな一流ホテルがなぜ一泊四千円??
別に「妖魔退散」の類のお札はありませんでしたし・・。
まぁ、爆睡していたので気がつかなかっただけで、もしかしたら夜中にオバケたちが飲めや歌えのドンチャン騒ぎをしていたかもしれません。
ただ、それでも私達の記憶にあるのは素晴らしく快適なホテルだったという事だけなのです。