Vol.82 2009.10この号の当選番号は029と051と067と086と112です。 

青春とは何だ!

月日がたつのは早いもので、KURIKURIもいつの間にやら開店12周年。

12年といえば小学校入学から高校卒業まで。

私の経験でいえば、ひらがなの「は」の縦棒を右に書くか左に書くか悩んでいた(本当)頃から微分積分を鼻歌交じりで解けるようになる(激嘘)までの長い年月です。


これだけの年月を一つのことに打ち込んでいるのですから、新作デザートなんか簡単に作れてもよさそうな気がするのですが、なかなかそうもいきません。

毎回毎回の試作&試食の繰り返しで、ハラの辺りには少なからず経験値(脂肪とも言う)がたまってきています。


しかしよくよく考えてみれば、12年を小学校から始めるのが間違いで、生まれた時からと考えれば12年後は小六の頃。

私の経験で言えば、カップにプリントされていた「Tea Time」を「てあちめ」と読んで笑われ、気取ってローマ字で文を書こうとすればEとヨやbとdを書き間違えるという、文字通り右も左もわからなかった頃なのですから、ケーキやアイスクリームが一発で美味しくできなくても当然といえば当然でしょう。


そうやって考えてみれば12年とは基礎を学ぶ期間。

小学校までに学んだ基礎の上に中学高校大学と学問の幅と奥行きが広がっていくように、これからさらに美味しさの幅と奥行きを広げていかなければなりません。


さて、その美味しさを学ぶべく、休みの日に時間をみつけては美味しい物を求めて彷徨っているのですが、先日新たに美味しいものを見つけました。

それは、表にも書いてある「焼き栗」。

長浜に遊びに行ったとき「叶匠壽庵」で食べたのですが、久しぶりに目からうろこが吹っ飛びました。

大雑把に言うと、こしあんを包んだ栗きんとんの表面を軽くあぶった感じのお菓子なのですが、焼けた栗の香ばしさとこしあんの丸い香りが溶け合って、えもいわれぬ美味しさだったのです。

今まで栗菓子では栗きんとんが宇宙一美味しいと思っていたのですが、宇宙はまだまだ広いようです。


っと、ここまで褒めておいて言うのは何なのですが、この焼き栗を食べたのは結構外を歩き回って疲れていたとき。

もしかしたらスキー場での運命の出会いみたいに、帰ってみるとごく普通のものかもしれません。

そんな訳でお土産に買って帰ろうとしたら、店売り分は無いとのこと・・・・。

あきらめきれず彦根の「たねや」で似たような栗菓子を買おうとしたらそれも売り切れ。。。。。


スキー場での出会いから素敵な家庭を築いたカップルもきっとたくさんいるはずですから、この焼き栗が本当に美味しいものである可能性だって少なからずあるハズ。

どなたか長浜に行かれた折には、ゼヒ叶匠壽庵で焼き栗を食べてみて、本当に美味しかったか判断してみてください!!


・・・・と、心のどこかでオミヤゲを期待しつつお勧めしたところで気がついたのですが、焼き栗はたぶん季節限定。

出会うチャンスはそんなに残されていないようです。


ていうか、私がするべきことはオミヤゲを期待することではなくて、美味しいと思えるものを食べたのならばそれを生かすことを考えること。

栗のデザートはまだまだこれからもあるのですから、その中で生かしていけばいいのですっ!!!


なんて勢いに任せて!マークを三つもつけてみたのですが、試作したからといって即デザートに生かせるとは限りません。

今までの試作でも人知れず闇に葬られたものの方が多いのです。

しかし、全国の野球部員の中で甲子園に行った者だけが青春の勝者でないように、敗れ去ったものにも立派な意味があります。

今回の焼き栗の美味しさも、きっと未来のKURIKURIの美味しさの一部に変わっていくことでしょう。


KURIKURIを始めて12年。

これからKURIKURIも思春期&青春時代に入ります。

様々な失敗もあるかと思いますが、失敗の嵐の中で前に向かって足掻いていくのが青春です。


KURIKURIが立派なオトナになるその日まで、温かく見守ってやって下さい。


KURIKURI