Vol.86 20010.2 この号の当選番号は020と046と082と151と154です。
熱い想い
二月といえばバレンタイン。
KURIKURIも昨年末のクリスマスが終わると同時に、新しいチョコの開発に着手。
チョコに手を出した最初の頃は、試作に入る以前に大量の試食をせねばならず、あやうく「怪人チョコ男」に変身しそうな程でした。
しかし、チョコ作りも今年で三年目。今回はそこまで食べ比べることもなく試作を始めることが出来ました。
そもそもチョコの開発は、お菓子作りの中でもずいぶんと理系向きの作業です。
チョコレートの口溶けを決めるのは、結晶の大きさと乳化のコロイド成分と油脂の凝固点。
文系の人間なら聞いただけでかつてのつらい授業を思い出しそうな単語のオンパレードですが、理系の私にとってはこれらの単語はお友達。
彼ら一人一人の性格を考えながら、最適な組み合わせを推理するのは実に楽しい作業です。
しかし、以前から販売しているKURIKURIの生チョコはこれらの知識を駆使して作った最高傑作。
これを越えるものは簡単には作れません。
そんな訳で今年手を出したのがホワイトチョコレート。
チョコレートとしてカカオの風味に欠けるので今まで手を出していなかったのですが、この滑らかな口溶けを利用しない手はありません。
ご存知のようにホワイトチョコはチョコというよりミルキーに近い風味です。
これを最大限に生かせるものは・・・・やっぱりイチゴで決まりでしょう!
そんな訳でフランス産やらアメリカ産やら日本産やらのイチゴを試してみたのですが、今ひとつ決定打にかけます。
口溶けのほうは早々に決まっているのに肝心のイチゴが・・・・。
そんな訳で木苺やブルーベリーに浮気しているうちにふと気がつきました。
「単体でダメなら混ぜればいいじゃん」
そこで色々な調合比で混ぜ合わせ、やっと生まれたベリーベリーショコラ。
とっても美味しく出来ました。
でも・・・・・・・・・
チョコ好きとしてはカカオの香りがもの足りません。
ココアをまぶすと香りも付くのですが、せっかくのきれいなピンクが隠れてしまいます。
そんな訳でもう一つ作ったのが、ビターチョコレートで作った木苺のチョコレート。
ビターチョコの持つ苦味と香りが木苺のシャープな風味を包み込み、今までの生チョコに負けない美味しさです。
ホワイトのほうがあくまでも潔くすっきりと溶けていくのに対して、ビターはKURIKURIの生チョコと同じ絹練り製法で作り上げているので、幾重にも重ねた絹がほどけるように余韻を残した口溶け。
一箱で二つの口溶けが楽しめるだけでなく、二つ一度に食べてもまた美味しい!!
一箱で二度も三度も楽しめます。
ただし、このチョコには一つだけ問題点があります。
見た目の美しさを重視してココアなどをまぶさなかったのですが、そのために隣のチョコとくっついてしまうのです。
生チョコは一見固体に思えますが、科学的にはゴムなどと同様に粘性が高い液体。
私自身もかつて夏休み明けに大量に集めたスーパーカー消しゴムが筆箱の中でシャーペンと一体化しているのを発見して号泣した覚えがありますが、固体に見えるものでも油断するとくっついてしまうものなのです。
せっかくのバレンタインチョコレート。
熱い想いでくっついてしまわぬように、お買い上げ後は早めに冷蔵庫におしまいくださいませ。