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誤解三昧
先月の初め、去年に引き続き今年もバレンタインフェアに行ってきました。
「バレンタインフェアは女の園」と固く信じていた去年は、私のようなオッサンが紛れ込んだら痴漢扱いされるのではないかと戦々恐々として行ったのですが、会場には甘党男子や甘党親父も結構いたので安心して試食三昧。
そんな訳で今年は安心して会場に足を踏み入れたのですが、去年と少々空気が違います。
お・男が少ない。
去年はアチラコチラに見かけた男性の姿が今年は妙に少ないのです。
しかも会場の雰囲気は去年にもましてラブリー。
売られているチョコレートも男性にプレゼントするにしてはカワイ過ぎる形状やパッケージが目立ちます。
どうやら今年のバレンタインは、自分自身へのご褒美や女の子同士の友チョコがメインのようす。
私が学生時代に毎年、高鳴る胸の内を悟られないように平静を装って学校に行き、泣きたいほどの落胆を悟られないように胸を張って下校した、古式ゆかしきバレンタインの行事は今や完全に前世紀の遺物になってしまったようです。
とはいえ来年のバレンタインのためには、勇気を振り絞って試食しまくらねばなりません!
意を決して目星をつけたチョコ売り場の前で腕組みし、売り子さんに上目遣いでチラチラ視線を飛ばすと・・・・・・・・「ご試食いかがですか〜♪」
この「腕組みチラチラ作戦」が功を奏したのか、試食の大量ゲットに成功しました。
そしてこの大量の試食でわかったのは日本人ショコラティエのあくなきチャレンジ精神。
ヨーロッパのチョコレートは一部のショコラティエを除くと去年食べたチョコと外見が変わっていても同じ味。
ところが日本のショコラティエは、当たり外れはあるものの、果敢に新しい味に挑戦しています。
そんな中で今年一番のヒットは地元シェ・シバタの柚子チョコ。
個性的な柚子の香りを腰のあるチョコの香りでしっかりと包み込み、しかも口溶けもあっさり溶けてしまうのではなく余韻を残してユルユルととろけていくのです。
この口溶けは、私も今年のバレンタインチョコで色々と試してみたので分かるのですが、とろけ具合を決めるのに数限りない試食が必要です。
きっとシバタのショコラティエたちも褐色の鼻血を流しならがら、懸命にベストの口溶けを探っていったことでしょう。
と、筆の勢いで「鼻血を流しながら」なんて書いてしまいましたが、チョコを食べ過ぎたところで鼻血は出ませんし、吹き出物もできません。
これは科学的にも統計的にも根拠のある話ですし、年間11キロと日本人の五倍もチョコを食べるスイス人が、鼻血の海で溺れることもなくすべすべの肌で暮らしていることからも理解できることでしょう。
たしかにチョコレートには興奮作用のあるカフェインが多少は含まれていますが、カフェインぐらいで鼻血が出るのなら、喫茶店は地獄絵図の様相を呈しているはずです。
これは多分、栄養のあるものを食べ過ぎないように戒めるための生活の知恵なのでしょう。
そして吹き出物についてもいろいろ説はありますが、まずは甘いモノが好きでたくさん食べる思春期にはそもそもにきびができやすいということ。
そして大人の吹き出物はチョコには気の毒な誤解があります。
実はチョコレートにはストレスを軽減する作用があるために、チョコを食べたくなる時はストレスがたまっている時が多いのです。
要はチョコレートを食べたくなるほどのストレスが吹き出物を生んだのであり、チョコはむしろストレスを軽減することで吹き出物を抑える役割を果たしているのです。
人はその時見える現実しか知らないために様々な誤解の中で生きるモノ。
バレンタインフェアの会場に男性が少なかったのも、実は時間が早かったから。帰る頃には甘党男子&親父の姿も増えたのです。
来年は「腕組みチラチラ」なんでセコイ真似はせず、堂々と胸を張って試食三昧に行くつもりです。