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鬼が悩む

 新年、あけましておめでとうございます。

 今年も、心の底からほっこりとできるお店を目指して頑張っていきますので、よろしくお願い致します。


と、おもいっきり新年モードの書き出しですが、ほとんどの年賀状が年末に書かれているのと同じように、コレを書いているのも年の瀬。

「来年もよろしくお願いします」なんて言ってるすぐその横のパソコンで書いているものですから、頭の中を兎と龍が行ったり来たり。

今年と来年の区別が今ひとつつきません。


というわけで、12月といえば世間は師走で何かと忙しい時期。

私も例年ならば家庭教師の教え子の一人か二人はラストスパートをかけている時期なので、あれやこれやと作戦を練るのに忙しい時期なのですが、今年(去年)はちょっと違います(このあたりが兎龍)。

今期は教え子が11月末と12月の始めにあっさりと推薦で決まってしまい、残り一人はまだ二年生というわけで、久々にのんびりとした年の瀬なのです。


思えば浪人中から家庭教師を始め、大学時代のみならず会社員時も店を始めてからもほとんど絶え間なく続けているのですから、職業としては喫茶店の倍くらいは長くやっています。

しかもさらによ〜く考えてみると、家庭教師を始める前にも高3の時点で生意気にもクラスメイト相手に放課後授業なんかをやっていましたから、もうじき満30年を迎えるという年季の入った教師人生。

その間自分自身の受験も含め、ほとんど毎年受験に関わってきたのですから、のんびりとした12月なんてレッドリストに載せられるほど希少なハズ。

そんなことを考えもせず普通にゴロゴロしてたけど、もう少し気合を入れてダラダラすればよかった。。。。


そんな訳で今まで使えなかった時間が使えるようになったのだから、それまで出来なかったことが色々と進みそうなもの。

しかし、意外にそれは進みません。むしろ時間がない時のほうが隙間時間をうまく使って、小説を書いたり論文を書いたりと色んな事ができたのです。


そんな具合で年がら年じゅう小忙しくしていたものですから、あまりヒマに慣れていないのです。

ですから、時間を持て余して「じゃあ読書でもしようか」と本を読んでも、半分くらい読んでやっと「あ・・・これ読んだことある」と気づくほどボケボケになっているのです。


さて、そんなだらけた12月でしたが、デザートの方はしっかりと気合を入れて作りました。

特に「スペシャルチョコレートプレート」に使った「チョコプリン」は今まで一度も使ったことのない調合。

プリンとは名ばかりのトロトロの食感と、フルーツと絡めて美味しくなる味をバランスよく組み合わせるために、試作試作の繰り返し。


普通は新作デザートが始まる数日前にはレシピが完成しているものですが、今回ばかりは何度も試食を繰り返して、前日の夜にやっと完成。

幸い怪我ひとつせずに終わったのですが、もしこのとき怪我でもしていたら流れる血液はきっとチョコ色。

妖怪人間としてテレビ局に連行されてしまったことでしょう。


そんな苦労の甲斐あって、「スペシャルチョコレートプレート」は二週間の間にリピートしていただいたお客さんが多かっただけでなく、開店以来初めてデザートを「おかわり」して頂いたほど、美味しく仕上げることができました。


さてさて、せっかく美味しくできたチョコレートデザートですから何とかバレンタインに活かしたいところです。

とは言ったものの、あれだけトロトロだと衝撃を与えたり傾けたままにしてたら容器からこぼれてしまうかもしれません。


「私のキ・モ・チ♥」と言って渡された包を開けると・・・・中から流れだす茶褐色の液体。。。。


せっかくの恋のはじまりを邪魔してしまいかねません。


まぁまだバレンタインまで日があるし、じっくりと考えておきましょう。それに、来年の話をすると鬼が笑うとも言いますし。


・・・・あ、でもこれを読んでいる方にとっては、今年の話だし、タイミングによってはもうすぐバレンタインという方もいらっしゃるわけだし。。。

鬼としても豪快に笑い飛ばしていいものかどうか悩むところでしょう。


ともあれ、今年も精一杯美味しいデザートを作っていきますので、よろしくお願い致します。



KURIKURI