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温故知新

先月初め、久しぶりに名古屋に行ってきました。

目的は例によって「バレンタインフェア」。


チョコレートに凝りはじめ、バレンタインフェアに顔を出すようになって三年目。

最初のうちは「おなごの祭典にオッサンが紛れ込むと痴漢扱いされるのではないか」とヒヤヒヤしていたのですが、三回目ともなると慣れたもの。

一度試食した所でも別のチョコの試食が始まれば即座に擦り寄って試食させてもらうくらいは朝飯前で、気になるチョコがあれば「これは試食できないの?」とおねだりするほどオバタリアン(死語)化が進行しています。


そんなバレンタインフェアで毎回思うのは、日本人パティシエの創意工夫。


ヨーロッパのチョコレートだって美味しいところはたしかに美味しい。

ゴディバのチョコなんか一口食べるだけで百回は頷けるほど納得の美味しさですし、ドゥバイヨルのチョコを食べたらそれだけで脳内世界地図の中でベルギーの部分がギャートルズの叫び声のように飛び出してくるほど、と昭和三・四十年代生まれにしかわからない比喩を使ってしまうほど美味しいのは間違いありません。


でも、新鮮な驚きを与えてくれるのは日本のチョコ。

当たり外れは大きいのですが、毎年必ず目からウロコの感動を得るのです。

去年はシェ・シバタの柚子チョコでウロコの雨を降らせましたが、今年も素晴らしいチョコに出会いました。


一つはカフェタナカの珈琲豆入りのカフェビーンズショコラ。

焙煎した珈琲豆が入ったチョコは珍しいものではないのですが、これは一味違います。

自家焙煎のカフェで作っているだけあって焙煎したての豆を使っているのでしょう。

酸化で生じる嫌な酸味が全くありません。

そして何より違うのがその焙煎具合。

一般的に飲んで美味しいように珈琲豆を焙煎すると、噛んでも噛んでも粒が残るものなのですが、コレで使っている珈琲豆は数回噛むだけで粉々に砕けてサラリと飲み込むことができるのです

私も毎日珈琲豆を焙煎していますが、同じような食感のものをつくろうと思ったら何十回も試作を重ねる必要があるでしょう。


そしてもう一つは、中村藤吉のほうじ茶チョコ。チョコレートとしては今ひとつ洗練されていない感もあるのですが、圧倒的にほうじ茶の香りが素晴らしい!!

ほうじ茶を使ったチョコレートは他にもあったのですが、抹茶も含めてここまでお茶の香りをチョコの香りと交響楽的に調和させたものはありません。

去年の夏にほうじ茶のおいしさに目覚めたのも平等院の中村藤吉カフェでしたし、きっとほうじ茶の旨さを知り尽くしたパティシエがいるのでしょう。


そんなこんなで他にも美味しいチョコをたくさん食べ、アチラコチラにウロコの山を築いてきたのですが、来年のバレンタインにこの経験は活かせるのでしょうか?

思えば今年のバレンタインチョコは柚子チョコとは縁もゆかりもないものでしたし…‥‥。


それに私だってそんなに待っては居られません。

去年ほうじ茶アイスは作りましたが、まだまだ極めたとは言い切れません。

それに試しに作ったほうじ茶ゼリーに、冗談半分で黒豆きなこをかけたらびっくりするほど美味しくなってしまったし・・・。


そんな訳で新作デザートの方でほうじ茶を使ってみることにしました。


まだまだ試作が足りないので、前半は超久しぶりのレアチーズケーキを使ったクレープでお茶を濁しつつ(コレだって隠し味にグレープフルーツを使った自信作だけど・・)、後半から桜の季節にかけてほうじ茶を使ったデザートを繰り出します。


と自信たっぷりに、さも必殺技を披露するかの如く「繰り出す」なんて表現を使ってしまいましたが、ほうじ茶なんて昔っから京都に行けばあちこちで出されていたごく普通のもの。

それをさも新しい味であるかのように豪語するのはJAROが許しても天が許してくれないでしょう。

でも「オバタリアン」や「ギャートルズ」だって久しぶりに聞くとちょっと新しい感じがするモノ。

今度のデザートだってちょっとは新しい感じがすると思うので、ぜひお試しください



KURIKURI