116号の当選番号は 042 060 068 119 207 です。

思いついたが

誰がなんと言おうと夏です。

そして夏といえばパフェ祭。

まぁ祭といっても単にパフェが三種類あるだけ。お客さん的にはそんなに大した事ではありません。

しかし作る側としては、毎週新しいパフェを出すのはなかなか大変。

一応7月中に思いついたパフェをリストアップしておいたのですが、あくまでもそれはイメージ。

実際に作ってみないと美味しさも見た目もわかりません。

まぁある程度は「経験」でカバーできるのですが、どのパフェにも必ず「一度も作った事がないもの」を入れることにしているため、なかなか思うとおりにはいきません。

たとえば「小豆と抹茶の和風パフェ」には最初、一番下に「ほうじ茶風味のわらび餅」を入れるつもりでした。

まず第一の誤算はその作りにくさ。

水溶きした蕨粉を火にかけ、ひたすら練って作るという事は知っていました。

しかし、その粘りが想像以上に凄まじい。

試作用に五人分程度の量で作ったのですが、それだけで生チョコ練りで鍛え上げた右腕がへろへろになるほど!

京都の「老松」では、注文ごとに作っているそうですが、あれだけたくさんの注文があるのですから、きっと職人さんの右腕だけは室伏なみのゴリマッチョ。

嵐山の夕暮れ時に「老松」周辺を散策すれば、リアルな人間シオマネキに出会える可能性がありそうです。

そんな余談はさておいて、わらび餅を作るのは想像以上の重労働。

しかし重労働だけなら、バレンタインシーズンに「地獄の生チョコ練り」をくぐり抜けてきた我が右手に、不可能の文字の刺青はありません。

問題はそれがパフェに使えるか。

きな粉と黒蜜をまぶしたわらび餅3個をパフェの一番下に入れ、想定したパフェの具材を全部入れ、上から順に食べてみると・・・。

下まで到達する頃には3個のわらび餅はくっつき合って一つの塊となり、おまけにパフェグラスの底にベッタリとこびりついてしまっているじゃないですか。

これでは食べるのも一苦労。

しかも鍋やグラスについた餅は、ちょっとやそっと洗ったぐらいでは落ちません。。。

やむなくわらび餅を諦めたのですが、そうなると組み合わせも一から練り直さねばなりません。

何とかジタバタと組み直しましたが、蕨粉以外に準備していたものがなかったので手持ちの材料しか使えません。

結局ほうじ茶わらび餅の代わりに、ほうじ茶を生かしてほうじ茶ミルクプリンを一番下に入れ、味のバランスを取るために一番上に載せる予定だった抹茶シャーベットを下に持ってきて一件落着。

と、こんなふうに思いつき通りにいかない事もよくあるのです。

そして思いつき通りにいかないといえば、ネットに作ったPOP堂書店(検索は「POP堂書店」で)。

ある時出版不況について調べていたら、出版不況の原因が「本が売れない事」ではなくて「新刊書しか売れない事」にあると気が付きました。

出版不況と言われていますが、十年前に比べても、雑誌を除いた書籍の売上は減っていないのです。

ただ、最初は不況で書籍の売上が落ちたのは事実です。そしてその時にテコ入れのために新刊を連発し、その結果書店に既刊本を置くスペースが減り、そのまた結果として既刊本の売上が落ちて新刊本を増やし、その結果更に既刊書のスペースが無くなり、という連鎖が始まってしまったのです。

このために良い作品が出ても置き場がないため長くは売れ続けず、作家は次々と新しい本を出し続けないと暮らしていけなくなり、出版社は利益の薄い新刊書ばかりを出し続けるために儲からない構造に陥ったというわけ。

そこで、読者が自分のオススメ本のPOPを作って貼りだす場所をネットに作れば、書店でPOPを見て本に手を伸ばすようにネットショップのオススメ本に手を伸ばすのではないか、と考えました。

そしてオススメ本といえるほどの傑作となれば新刊ではない可能性が高いでしょう。

もし誰かのPOPがきっかけで、忘れ去られていた「良い本」の人気に火が付けば、既刊本を見直すきっかけになるかもしれません。

と、心意気だけは富士山並みの壮大さで始めたPOP堂書店ですが、所詮は素人の思いつき。

私自身が作ったPOPとお客さん数人に頼んで作ってもらったPOPを除くと新規参加は四人だけ。

最初は物珍しさで増えていたアクセスも今は低調。ネット社会の壁はエベレスト並みに高いようです。

とは言え、餅をプリンにかえたように、考え続ければ何か新しいアイデアが生まれるかもしれません。

思い立ったが吉日とも言いますし、思いついたが百年目と言う人だってたまにいます。

もう少し考えてみましょう。

KURIKURI