119号の当選番号は 013 040 107 123 140 です。
煮ても焼いても
最近どうもデザートに凝りすぎているのではないだろうか・・・・・。
始まりはたぶん夏のパフェ祭り。
毎週毎週新しいパフェを出すために、本を読んでもテレビを見ても「何かパフェのネタはないか」と探す日々。
家族旅行で行った京都でさえもパフェネタ優先でお店を選ぶ始末です。
そして極めつけは栗栗パフェ。
パフェの名前と店名が被っていることもあって、何かすごいものを出さねばと様々な食材を買い求め、結局世界にある栗の種類四系統をすべて網羅するという前代未聞のパフェを作ってしまったのです。(前代未聞とは大げさなと思うかもしれません。しかしこのパフェを作る前にもさんざんネットで他店のパフェを調べましたが、三種の栗が最大値。少なくとも日本初の可能性はなきにしもあらずです)
さて、そんなパフェを作ってしまうと困ってしまうのが次のデザート。
「モンブランクレープ」という名前は決まっていて、モンブラン用の口金もすでに買ってはいたのですが、形が決まっていない。。。。
最初に考えていたのは、普通のクレープの上に和栗のアイスを乗っけて、その周りにウニウニと栗クリームをかぶせるという形。
しかし試作してみると、栗クリームと栗アイスの食感が違いすぎる上に、上のアイスを食べようとすると下のクレープがつぶれてしまって見苦しい。
それにそもそも見た目がカッコ良くありません。むむむむ・・・
ネットで「モンブランクレープ」の画像検索をかけてみたのですが、どれも割と普通の形ばかりでピンとくるモノは見つからず・・・。
そうこうする内に、デザートが変わる前々日の木曜日になってしまいました。
早朝、たくさん焼いたクレープ生地を縦巻き横巻き斜め巻きと、次々にいろいろな形を試してはため息をつくこと限りなし。
そんなときにふと、使い終わったクレープ生地がマグカップに被さっているのが目に入ったのです。
「これだ!!」。被さった生地をカップにそって奥まで押し込んで、和栗のムースをみっちり入れて包み、
カップをひっくり返せば見事な山型クレープができたじゃありませんか!
後は味と食感の変化を出すために紅茶のアイスとチョコケーキを入れ、外側に洋栗のクリームをモンブランっぽくかければ基本形は完成。
後はこのクレープにあわせてアングレーズソースを焙じ茶風味にするなど細かな調整を行って、木曜日の夕方に何とか完成。
こうしてKURIKURI史上最大のクレープができあがったのです。
そして、クレープにそこまで凝ってしまうと次の「秋のスペシャルパフェ」も大変です。
『スペシャル』と名付けてしまった以上、モンブランに負けるわけにはいきません。
パフェに使う栗のアイスは最初、栗栗パフェで好評だった洋栗のアイスにするつもりだったのですが、同じモノではスペシャルの名が泣きます。
クリームの量や洋酒の種類を変えてみたけれど、これではモンブランの五合目にも到達できません。
しかしふと思い立って、少し残っていた和栗のアイスを混ぜてみると、洋栗のコクに和栗の香りが加わって新しい美味しさが生まれたのです。
そしてもう一つのアイスは安納芋を使う予定だったのですが、アイスにしてしまうと安納芋独特のねっとりとした食感が生かせません。
そこで安納芋はじっくりと焼き上げたモノをカットしてパフェの中盤に配置。
そうなると一緒に置くのがシフォンケーキでは食感があわないので小豆をたっぷりと入れてしっとりと焼き上げたケーキに変更。
ラストのカボチャプリンはコクを出すために焼きプリンにするつもりだったのですが、そうすると食感が今ひとつだったので、焼きプリンの調合で固めないように加熱してからゼラチンで固めるという、魚をいったん焼き魚にしてから煮魚にするような訳のわからん手法を強行。
と、まぁこんなぐあいに凝りまくっているのですが、さすがに最近限界を感じることもしばしば。
このまま突っ走ってしまえば、焼き魚で作った煮魚を天ぷらにするような暴挙に出る可能性もありますし、逆に活魚を丸ごと一匹出して「これぞ究極の刺身じゃ〜」と言い切るような超シンプルデザートを作り始める可能性もあります。
そこで今月初めにちょっと店をお休みさせていただいて、同業者の研修会に出てきます。
他の方の視点に接すれば、きっと何らかの発見があるでしょうし、なんと言っても開催場所が京都。
研修会の前後にもきっとおいしいものに出会えることでしょう。
そんなわけで今月のデザートは、表に書いてあるものと少し変わってしまうかもしれません。
でもきっと今までと違った美味しさが発見できると思いますので、是非お試しください。