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言葉にすれば
新年、あけましておめでとうございます。
一年の計は元旦にあり。我が家のお正月は毎年、熱田神宮へのお参りから始まります。
お賽銭を投げ入れ、静かな気持ちで思うのは神様へのお願いではなく自分の目標。
漠然と心の中を漂っている願いを、言葉に換えて神様の前で宣言する。
「はじめに言葉ありき」と言ったのはよその神様ではありますが、言葉に換えてこそ物事が具体化するのは宗派を超えた真理ではないかと思います。
とはいえ私のように神とはほど遠い身のすること、言葉にしたからといってそう簡単に具体化するはずはありません。
毎年の目標はほぼ達成されることもなく次の年もまた同じような目標を少しだけ言葉を変えて唱えているのですから、熱田の神様もきっと「アイツまた同じこと言ってやがる」と呆れていることでしょう。
さて、そんな言葉ではありますが「口は災いの元」ともいうように、時として災いを運んでくることもあります。
当店のデザートは表に名前や内容が書いてあるように、一応一ヶ月分まとめて決めています。
従ってこれを見たお客さんは「このデザートがどんな風になるのかはもう決まっているのだな」と思うことでしょう。
しかし実態は「そんなことは全くない」のです。
たとえば去年の「クリスマスパフェ」にはこう書いてありました。
「いちごにキウイ、マンゴー、いろどり鮮やかなフレッシュフルーツをいっぱいつめ込んだ、4日間限定のスペシャルパフェです」
実際には、決まっていたのはこれだけ。
というよりも、この言葉だけを頼りに新しいデザートを作っていかなければならないのです。
しかもその前の「いろいろチョコいっぱいのプレート」では新しく四角いお皿を買ったこともあってか、多くの方から好評をいただいていました。
そんなこともあって期待値が高まる中で、更に「四日間限定」という初の試み。ハードルが上がりまくりです。
名古屋のデパ地下に潜入してあらゆるデザートを見まくり、インターネットを駆使して全国のパフェをチェックし、試作しては試食をベルトがきつくなるまで繰りかえし、やっとできたのが「いちごのショートケーキ」をイメージして作ったパフェ。
どのような形だったのかは説明すると長くなってしまうので、私のブログで見ていただくこととしましょう。
とにかく、食べ損ねた人が泣き濡れて蟹と戯れてもおかしくないほどの、当店としては前代未聞の新しい形のパフェができたのです。
いやぁ良かった良かったと、若干肉のついたおなかをなで回したのもつかの間、次のデザートを見てみると「冬のプレミアムパフェ」となっているじゃないですか!
今まで「スペシャル」は何度か作ってきたけれど、「プレミアム」なんて初めてです。
そういえば先月号のKURIKURI通信を作るとき「いつもスペシャルじゃマンネリだから」とか何とか言っていたような気がします。
しかしプレミアムっていったい・・・。
なんて嘆いている暇はありません。
クリスマスパフェはたったの四日、しかもその間定休日はありません。
改めて紹介文を読んでみると「香り高いベルギーチョコレートにパッションフルーツの風味をきかせた・・」なんて書いてあります。
記憶をたどるとこれは確か・・バレンタインチョコを研究していた時に食べたヴィタメールのチョコをイメージして「こんなパフェを作ればいいんじゃない」なんてお気楽な会話をしながら決めていたような気がします。
そこでまず使い慣れていないパッションフルーツをムースにしたりカスタードにしたりと味の傾向を見極めました。
そして次はアイス。
ベルギーチョコのアイスはこれまで何度も作っていますので傾向は熟知しています。
しかし問題は紹介文に「コク深くクリーミーな味わい」なんて書いてあること。
これに合わせてなおかつパッションフルーツに合わせるためには・・・と頭をひねったあげく作り上げたのがフルーティな香りのチョコとホワイトチョコをブレンドしたアイス。
そしてこれに合わせるために、パッションフルーツもアイスにして・・・。
その間何度も「クリスマスパフェに竹でも飾って正月まで延長してしまえ」という悪魔のささやきを耳にしながらも、何とかプレミアムの名に値するデザートを作り上げることができました。
と、散々苦労はしましたが、こうして新しいデザートができたのもの言葉にしたおかげ。
言葉にすれば夢が叶うともいいますし、これからも言葉を大事にしていこうと思います。