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チョコにまみれて生きる
二月と言えばバレンタイン。
雑誌はもとより情報番組でもチョコ一色。
日本で生活する以上、二月にチョコを見ないで済ませることなど、エジプトに行って砂を見ないで済ませるほどに困難なこと。
かように日本の生活に溶け込んだ習俗ではありますが、私が若かりし頃にはバレンタインなどという軽佻浮薄な西洋かぶれの文化は、一般市民のあずかり知らぬ貴族の道楽。
私が若い頃にチョコをもらえなかったのは、このような時代背景があったためであり、決してモテなかったわけではないのです!
なんか似たような言い訳を去年もしたような気もしますが、ともあれ今現在はチョコまみれの人生。
まぁ当然のことながら、チョコを貰いまくっているわけではなく、チョコを作りまくっているという意味なのですが。
さて、そんなわけで今年も松のとれぬ内からバレンタインチョコ一直線。
今年は産地にこだわってみようと世界のチョコをお取り寄せ。
取り寄せたサンプルのラベルを見ると、ガーナ、エクアドル、ベネズエラ、マダガスカル、ドミニカ、サオトメ、ブラジル、とアフリカや中南米の国がずらり。
・・・ん?サオトメ・・・早乙女って書く日本産なのか?と思って調べてみるとスペルは「Sao Tome」。
思いっきりローマ字読みしてますが、韓国語で愛をエ(a)と発音するように、母音が続く事を避ける外国語は珍しくありません。
Paoと書いてパンと読むように、このaoの発音はan。
従ってこれはサオトメではなくサントメ。アフリカのギニア湾に浮かぶ島国サントメ・プリンシペのことでした。
さて、これらのチョコは珈琲で言えば産地別のストレート珈琲のようなもの。
個性は強いけれどその制御が大変。普通はその個性を補い合うようにブレンドして使うものです。
ですから通常食べているチョコレートは様々な産地のチョコのブレンドであり、フランス産とかオランダ産と言っているのは、その国でその国民にあわせてブレンドをされたチョコなのです。
さて、そんな個性豊かなチョコたちを取り寄せてみたのですが、食べてみると困ったことが・・・。
それぞれ確かにおいしいのですが、どう考えても他の産地とブレンドした方がおいしそうなのです。
しかしそれではただのブレンドチョコ。
ならばプロ中のプロがブレンドした世界の一流メーカー品に勝ち目はありませんし、産地にこだわってみようというコンセプトからも外れます。
そこで思いついたのがフルーツとの組み合わせ。
フリーズドライされたイチゴ・木苺・マンゴー・ブルーベリーのパウダーをそれぞれのチョコと組み合わせ、試食に試食を重ねたところ、マダガスカルと木苺の相性がぴったりであることを発見。
そこでマダガスカルにターゲットを絞って更に試食を重ねていくとオレンジピールとの相性もなかなか。
そんな訳で今年のバレンタインチョコレートは、KURIKURI自慢の生チョコとマダガスカル産チョコで作った木苺風味の生チョコのセットと、オレンジコンフィをチョココートしたオランジェットを加えたボンボンショコラセットの二種類をご用意いたしました。
プレゼントや自分へのご褒美に是非どうぞ。
そして今年はお持ち帰り用だけでなく、デザートにもバレンタインスペシャルを作ってしまいました。
木苺風味のチョコケーキはガナッシュに木苺ピューレを加え、さらに下に行くほど木苺が強くなるような多層構造に。
また、フルーツやアイスクリームをディップするフォンデュチョコには、単体で食べるには個性が強すぎたエクアドル産チョコをブレンド。
また、アクセントとして香ばしくて苦味の少ないベネズエラ産カカオの粒を散らしてみました。
そしてこのデザートはバレンタインにあわせて三週間続くので、毎週ちょっとずつマイナーチェンジをする予定です。
とりあえずこの原稿を書いている時点で、フルーツの下に入っている木苺アイスをマンゴーアイスに変えることは決まっていますが、他のものを何に変えるかは今朝作った試作品を食べてみないことには何ともいえません。
ともあれ、全身をチョコまみれにして美味しいチョコを作っていますので、是非一度お試しください。