158号の当選番号は 044 066 083 129 197 です。
困難がありあまる
伝票の文字を見ていただくと一目瞭然なのですが、私の字は恐ろしく汚い!
一応読めるように配慮して書いてこのレベルですから、自分用にメモった文字などヒエログリフを解読したシャンポリオンでさえ音を上げそうな代物です。
この文字のためにテストのたびに必要以上の×をもらったり、ラブレターを書こうとして便せん一冊無駄にするなど、損したことは数知れず。
よい子のみんなはしっかり字の練習をしておいた方がいいと思います。
しかし、雑菌から特効薬が生まれるように、汚い字から得られたものもあるのです。
それはパソコンの技術。
大学生の頃、読みにくい実験ノートのために担当教授から嫌われていた私は、一番手間のかかる実験を押し付けられた上、手書きの卒論は認めないと宣言されたのです。
このために研究室にあった数少ないパソコンの内一台を専用で与えられ、当時かろうじて実用レベルになったワープロで卒論を書くことになりました。
当時のワープロソフトは変換が超絶遅い上に誤字を学習しないという愚か者ではありましたが、私の千倍は字が上手な上に、曲がりなりにもパソコンですから計算能力は人類の及ぶところではありません。
そんなわけでナマケモノの私は楽するために必死こいてプログラムを覚えて、めんどくさい計算や集計は全てパソコンに任せることにしたのです。
その結果、一月には卒論を書き終えて、三月の卒論発表までは実験に没頭してるふりをしながらゲームなどをプログラミングして楽しむことができたのです。
就職してからも、当時まだあまり普及していなかったパソコンに慣れていたお陰でパソコンの担当となり、様々なパソコンやパーツなどを会社のお金で買って試すことができ、何台ものパソコンをパワーアップしたり再起不能にしたりするという、なかなか得がたい経験もできました。
この仕事に就いてからは、その技術も自分のパソコンをいじり倒すくらいしか使い途がなかったのですが、年末に立て続けで二件程ひとの役に立ちました。
一件目はお客さんなのですが、浮かない顔をしていると思ったら「パソコンを落として壊してしまった」とのこと。
買ったお店で修理見積もりをとったら十万以上もかかると言われ、そして何より思い出の写真や仕事のデータは回復できないと言われたそうなのです。
そこでものは試しと私のところに持ってきてもらったところ、ハードディスクのデータは手持ちのソフトで簡単に回収でき、動かなくなったパソコンもぐらついていたコンデンサをハンダ付けするだけで使えるようになったのです。
そして二件目は家庭教師の元教え子。
大晦日の夜に数年ぶりに電話があったと思ったら、パソコンにシャンパンをこぼしたら壊れてしまったとの涙声。
パソコンにシャンパンは最悪の組み合わせです。
炭酸の力であらゆるところに潜り込み、クエン酸が電子基盤を侵し、糖のべたつきが機械的動作を妨げます。
早速持ってきてもらったのですが、とてつもなく重症です。
回復不能な程傷んだパーツはジャンク品をオークションで購入して部品取りをするなどして本体は動くようになったのですが、問題はハードディスク。
こちらも思い出の写真がいっぱい詰まっているそうなのですが、どんな技を駆使してもパソコンから認識されません。
念のためデータ救出最大手の会社に送って見積もりをもらったら重度の物理的障害という診断でデータの回収費用は44万円とのこと。
とても学生に払える額ではありません。
元教え子も「先生ができなかったら諦める」と言ってくれましたので自力で何とかすることにして、現在同型同ロットのハードディスクがオークションで出品されるのを待ちつつ、ハードディスクの分解組み立て技術の習得に励んでいるという状況です。
この経験でわかったのは困難な状況になれば技術は上達するということ。
一件目の時には手持ちの知識と技術で何とかなったのですが、二件目では手に負えず。
ネットや書籍で知識を集め、使わなくなったパソコンを実験台にして技術をアップさせたのです。
そしてせっかく磨いたスキルを放置するのももったいないので、副業にしてみようかと思います。
もし何かパソコンのトラブルがあればご相談下さい。お役に立てるかもしれません。
そしてここから、幾多の困難を乗り越えて生チョコのように濃い味わいのチョコギモーブを作ったり、KURIKURI史上最高チョコ濃度のオレンジショコラを作ったりしたという話をしていく予定だったのですが、どう考えても余地がありません。
ワープロの方は当時から想像を絶する程の進化を遂げたのですが、使っている私の文章力はあまり進化していないようです。
まだまだ困難が足りないということなのでしょう。
我に艱難辛苦を!と天に祈りそうになりましたが、よく考えたら本業は喫茶店。
困難はお菓子作りだけでもう十分です。