162号の当選番号は 013 105 118 132 141 です。

全力疾走 

先月半ばに臨時休業をいただき、大阪に研修に行って参りました。

まぁ研修といってもイベントとしては菓子関係者が作っているネットフォーラムのオフ会のようなものがあるだけ。

ただのおしゃべり会ですから、本来ならわざわざ店を休んでまで行くほどのものではありません。

今回も元々は欠席するつもりで臨時休業の予定も出していなかったのですが、そのイベントが月曜日に大阪であると聞いた嫁さんから悪魔の囁きがあったのです。

大阪って、奈良からすぐ行けるんだって」

こんなJR西日本のCMみたいな囁きがなぜ「悪魔」なのか、多少の説明が必要でしょう。

奈良には今年大学に入ったばかりのひとり娘がいるのです。

そして大阪に行けば「娘と一緒に夕食くらいは食べられるんじゃない」と、嫁さんは暗に示したのです。

確かに月曜日なら夜遅く帰ってきても翌日は休みです。

結局、その囁きが私の親ばかエンジンに火をつけ、ターボパワー全開で大阪行きが決まってしまったのです。

そんな不純な動機で決まった大阪行きですが、行く以上は何かを得て帰って来ねばなりません。

前回の大阪行きでは「安くてうまいモノ」を中心に食べ歩いたのですが、今回は曲がりなりにも「研修」です。

求めるべきは安さよりも美味しさ。

しかし進学やら何やらで物入りだったため懐は決して豊かではありません。

限りある予算で可能な限り美味しいモノを、とキーボードが壊れんばかりの勢いでネットを検索し、裏が透けて見えるほどガイドブックをめくり倒した結果、選んだのはスペイン王室御用達のショコラテリア・CACAO SAMPAKA(カカオ・サンパカ)です。

サンパカと聞けば私なんかは「三バカトリオ」という重言くらいしか思いつかないのですが、かつて世界最高のカカオを産出したという赤道ギニアにある古い農園の名前から来ているそうです。

そんなカカオ・サンパカのカフェが梅田大丸にあるということで第一目標地点に設定し、開店直後に一番乗りしてきました。

入店直後の第一印象は、とにかく「広い」。

床面積もまあまあ広いのですが、特筆すべきはその高さ。

三階分ブチ抜いた天井は遙か遠く、キリンくらいは楽に飼えそうですし、進撃の巨人でも獣の巨人クラスでやっと頭が届くくらいでしょう(想像)。

壁には昔のアフリカの港とおぼしき巨大な風景画。

壁側の背もたれはジャイアント馬場さんが座っても決して頭がはみ出ることのない高さです。

二面を占める大きなガラス壁からは、大阪の街のビル群が見渡せます。

向かいにある劇団四季の入ったビルではちょうど巨大ポスターの貼り替え中。

ライオンキングからキャッツに変わるところらしく、左半分がライオンで右半分が猫という貴重な瞬間を目撃できました。

ちなみに、ここで使っていた壁画と同じ柄のコーヒーカップは、とても気に入ったので一客買ってきています。

珈琲はもちろん、メープルミルクティのようなクリーム系にも映えるカップですので、興味のある方はリクエストしてください。

話を戻して、ここで一番美味しかったのはテヴェルテという、お茶を使ったチョコのムースケーキ。

最近ヨーロッパでも抹茶を使ったチョコケーキは多いのですが、ちょっとスモーキーなスペインのチョコはフルーティなフランスのチョコよりもお茶との相性がいいようです。

一口食べるごとに鼻からフンフンと息を吐き、チョコとお茶が織りなす香りのハーモニーを楽しんでしまいました。

そこで早速これをパク…もとい、アレンジしてフランスチョコのムースに浅煎りほうじ茶を組み合わせたものを先月の「ミルクとチョコの贅沢プレート」に組み込んでみました。

微かに酸味のあるチョコとほうじ茶の渋みはとても相性が良かったのですが、香りのハーモニーはサンパカに勝てなかったように思います。

次はもうちょっと深煎りしたほうじ茶をベルギーチョコに組み合わせてみようと企んでいるのですが、どのデザートに使うかはまだ未定です。

そしてデザートと言えば、最近頭を離れないのが来月半ばから始まるパフェ祭り。

たぶん去年と同じように毎週ペースで新作パフェを出し続けると思うのですが、まだどんなパフェを作るのか全く決まっていないのです。

まぁ、こんな事は毎年のことなので、たぶん始まってしまえば何とかなると思うのですが、今年はいつもと少しパターンが違う予感がします。

例年ですと前半の方にアイデアや技法などが凝ったものを作り、後半になると多少息切れして過去に作ったパフェのアレンジなどに逃げる傾向がありました。

しかし今年はたぶん、凝ったものは後半まで残しておくことでしょう。

なぜなら、娘が里帰りしてくるのが八月半ばの予定だから。

我ながら親ばかエンジン全開だとは思いますが、わたし的には仕方のないことなのです。

しかし、だからといって前半に手を抜くことはありません。

最初から最後までフルスロットルで駆け抜けていくつもりなので、ご期待ください。



KURIKURI