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裏のウラ話
最近パフェにちょこちょこ使っている「お濃茶」。
これが「おこいちゃ」と読むことさえあまり知られていないマイナーな抹茶ですが、一般的な「お薄(おうす)」と何が違うかご存じでしょうか?
ざっくりと一言で言えばそれは「渋み」が違うのです。
お濃茶とはお薄の三倍くらい濃いドロドロの抹茶なのですが、これをお薄に使うような抹茶で作ると渋くてかないません。
お濃茶にするには、渋みの少ない・・・すなわち値段がどえらく高い抹茶を使う必要があるのです。
それがどれくらい高いかというと、当店で抹茶のアイスクリームなどに使っている抹茶は製菓用の最高級抹茶の三倍くらいするお薄用の抹茶ですが、お濃茶パフェやバレンタインのお濃茶チョコに使っているのはそれから更に三倍くらいするのです。
まぁ値段の話をするのも品のない話なのですが、高いんだなぁと思いながら食べるとより一層美味しくなるような気がするので書いてみました。
さてさて、今年のバレンタインチョコでも新作としてそのお濃茶を使ったタブレットを作りました。
お茶三昧生チョコと合わせ、ちょっと贅沢なお茶タイム用にいかがでしょうか?
ちなみに今年のバレンタインは人気のパテ・ド・ショコラをお休みさせていただきました。
理由はシンプルに「作っている時間がなかった」から。最近パフェに凝っているため、ギモーブにパート・ド・フリュイにビスケットまで入ったパテ・ド・ショコラを作っている余裕がなかったのです。
そして時間がなかったもう一つの理由は「家庭教師」。
こちらは本業ではないのですが、ちょっと切羽詰まった受験生を二人ほど抱えているので、こちらにも時間が欲しいのです。
家庭教師と本業のどっちが大切なんだとの声も聞こえてきそうですが、家庭教師もまた天職なのです。
なんせ私は中三の夏の進路相談で「農業高校しか行くところはない」と断言されたほどの落ちこぼれ。
今でこそ農業高校は人気のあるところですが、当時は不良少年のたまり場。今日から俺はビーバップするようなハイスクールだったのです。
そんなところに人類よりもモヤシに近いほどヒョロガリだった当時の私が行けばどうなるか・・・。
それだけは避けたくて一生懸命勉強し、何とか普通科高校に合格するも一年の終わりにはビリから一桁レベルの落ちこぼれ。
そこから一念発起して旧帝大に受かったのですから、成績の振れ幅はハイジのブランコにだって負けません。
そして高校時代は文系で、浪人中に理系に変わり、予備校を途中でやめて宅浪したのですから、受験生としての経験値はオンラインゲームならフル課金の戦士レベルはあるでしょう。
これほどの振れ幅と経験値を生かさぬ手はなく、もう三十年以上も家庭教師を続けているのです。
そしてもういい加減頭もポンコツになってきているので、続けられるのもあと十年もないでしょう。
そんなわけで、ちょっとバレンタインチョコを犠牲にしても家庭教師に時間をとることにしたのです。
さて、振れ幅と言えばパフェにとっても振れ幅は重要な要素です。
苺のパフェだからといって上から下まで苺では、それはパフェではなく苺の盛り合わせです。
苺をアイスやゼリーにするだけでなく、別の素材と組み合わせることで今までになかった美味しさを作り上げる。
それがパフェの持つ力だと思うのです。
しかし振れ幅が大事だからと言ってやたらと振れ幅を大きくすればいいというものではありません。
ハイジのブランコだって、たまたまハイジが落ちたのが筋斗雲の上だったから良かったようなものの、普通の雲だったら第一話が最終回になるところでした。
イヤイヤそんな話ではありません。
パフェの話です。
例えば12月に作った「抹茶と苺のミルフィーユパフェ」では抹茶カスタードの中に柚子ミルクのアイスクリームを入れました。
抹茶と柚子ではまるで香りのベクトルが違うもの。味わいは一気に膨らみますが、振れ幅を上手くコントロールして着地点を見つけないと、雲を突き抜けて地上に真っ逆さまです。
いやもうハイジの話はいいのですが。
とにかく、パフェとして完成させるためには、同じベクトル上で振れ幅を大きくとってみたり、ベクトルを変えて振れ方に変化をつけてみたりと様々な工夫が必要だと思うのです。
と、このような話は作り手の話であって、食べる側としてはできあがりが美味しければそれでいいとも思います。
でも、お濃茶がめちゃ高いと知ればより美味しいと感じてしまうように、パフェに工夫が隠されていると思えばより美味しいと感じられるのではないでしょうか?
そして、家庭教師だってただのオッサンから教わると思うより、ハイジのブランコの如き振れ幅を持ったフル課金レベルのオッサンから教わると思った方が、より勉強できる気がしないでしょうか?
芸能人の素顔を知れば親しみが湧くように、裏話にはこんな効用もあるのです。
KURIKURI通信もきちんとした情報が載った表面ばかりではなく、くだらない情報が載った裏面にも目を通していただけると幸いです。