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美味しいパフェの食べ方


先日ちょっと京都に行ってきました。新年、あけましておめでとうございます。
   今年も、心の底からほっこりとできるお店を目指して頑張っていきますので、よろしくお願い致します。
 
と例年と同じ挨拶で始まりましたが、これを書いているのはまだ年末。
怒濤の最終日を終えて、ほっと一息つきながらこれを書いています。
そう、最終日はホントに忙しかった。パフェの準備は十分にしていたのですが、それでも四時には品切れになるほどだったのです。
 
そしてその人気の「スペシャル苺ショートパフェ」ですが、これを作るにあたっては過去最大に悩みました。
何と言っても直前が「フルーツサンドパフェ」。
ケーキとケーキの間にフルーツを挟むという点ではまったく同系統のパフェだったので、これにどうやって「新しさ」を加えるかがなかなか思いつかなかったのです。
いつもは新作パフェを考え始めるのは二週目に入ってからなのですが、今回ばかりは一週目から若きウェルテルばりに悩みに悩みました。
まぁゲーテの作品など読んだことはないのですが、とにかく頭の中は新作パフェのことばかり。
ちょっとイスに座ろうものなら「考える人」のポーズで沈思黙考モードに突入し、お客さんの声も耳に入らないほど。
もしこの時メドゥーサに出会っていれば、ロダンの贋作として二束三文で売りに出されていたに違いありません。
 
そんなことはどうでもいいのですが、とにかくどんなに考えてもいいアイデアは浮かびません。
ならばどうするか。考えてダメなら食べてみるしかありません。
三軒のパティスリーで二個ずつショートケーキを買ってきて、夕食はケーキバイキングと相成ったのです。
夕食がケーキバイキングなんて羨ましいと思うかもしれませんが、私は既に55歳。
銭形警部(29歳)が息子であってもおかしくない年齢なのです。
警部と同い年の頃にはヒルトンのケーキバイキングで全種制覇に挑戦した後にラーメンを食べる体力がありましたが、今や波平さんより年上です。
ヨメさんと分けたとは言え半分以上は私が食べたのですから、後半は爆上がりする血糖値との戦いでした。
しかし、その激闘を通して見えてきたものがありました。
ショートケーキはスポンジが命なのです。
たかがスポンジではありますが、されどスポンジ。
ふわふわもあればふかふかもあり、シュワシュワもあればジュワジュワもあるのです。
この食感でショートケーキ全体の印象が決まると言っても過言ではないでしょう。
そんなスポンジの中でも特に気に入ったのがカフェタナカの「ジェノワーズ」。
タナカのショートケーキにはふわふわのスポンジタイプとシュワシュワのジェノワーズタイプがあったのですが、このジェノワーズがパフェのイメージにぴったりだったのです。
 
さて、ここで気になるのがスポンジとジェノワーズの違い。
実は定義としては同じものなのです。
ではカフェタナカさんでは何をもってスポンジとジェノワーズを区別したのか。
見た目ではジェノワーズの方がきめが細かく、食感としてはスポンジの方がふんわりとしています。
たぶん、スポンジは卵白と卵黄を別に泡立てて、ジェノワーズの方は卵白と卵黄を一緒に泡立てて作ったのだと思います。
 
そしてこれを再現するには、その前に作った「フルーツサンドパフェ」で使ったカステラ生地の経験が役に立ちました。
カステラ生地は薄力粉で作るスポンジと違ってパンと同じ強力粉で作るのですが、フルーツサンドに合わせたパンっぽいカステラを作るために様々な泡立て方で試作していたのです。
おかげできめの細かいジェノワーズはすぐにできたのですが、困ったのはそのしっとり感。
ショートケーキはクリームを挟んでから時間が経っていますのでクリームの水分でしっとりしますが、パフェは直前に作るのでクリームの水分がジェノワーズに移る時間はありません。
シロップを塗るという手もあるのですが、これではシュワシュワではなくジュワジュワになってしまいます。
まぁその辺は知恵と工夫と根性で何とかしたのですが、そこまで書くと紙面が尽きてしまいますので割愛しましょう。
 
ただ、問題はそこまでこだわって作ったのに、出来上がったパフェとしてジェノワーズはやっぱり脇役だったということ。
パフェである以上見た目も大切なので、華やかにしようと苺アイスを木苺ジュレでコートした上に周りに苺は飾るは金箔は散らすはと絢爛豪華にしたものですから、ジェノワーズの目立たないこと。
一体何のために苦労したのやら。
 
とは言っても、見た目も美味しさのうち。
パフェは美味しければそれでいいのです。
 
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KURIKURI