223号の当選番号は 005 059 095 183 201 です。
美味しいイマジネーション
今月14日から10月4日までは毎年恒例パフェ祭り。
祭りといっても花火や夜店があるわけでもなく、通常の二週間毎の新作パフェに加えて四週間毎に新作がでるだけ。
そう、たったそれだけの事なのですが、この期間中は三週続けて新作がでる週が三回もあるのです!
企画制作担当者としてはなかなかつらいシーズンですが、お客さんの身になってみればいつ来ても新作があるようなもの。
楽しさいっぱいの夏祭りといっても過言ではないでしょう。
しかも今年は、四週間続くシーズンパフェに人気のメロンやマスカットを投入する予定なのです。
大人気だった去年のパフェに負けないような美味しいパフェを作るつもりですので、ゼヒ期待に胸を膨らませて来店して頂きたい!
とは言え、この原稿を書いている時点ではまだまだ先の話。
もっかの懸案事項といえば焙じ茶。
今作っている「焙じ茶ショコラパフェ」の中段のゼリーにつかっている焙じ茶を茎茶で作るべきではないかとバイカル湖より深く悩んでいるのです。
う~む、これでは何が言いたいのか伝わりにくいので、ちょっと解説しましょう。
焙じ茶は一般的に番茶やかりがね茶という茎の多いお茶を焙煎して作るのですが、私は茎の少ない緑茶を使って作っています。
緑茶は焦げやすいという欠点があるのですが、茎茶に比べると味わいが複雑なのでアイスなどお菓子に使うには都合が良いのです。
また、焦げやすいという欠点も上手く使えば燻製のようなスモーキーな香りが加わるというメリットに変わります。
そんなわけで、今回のパフェも緑茶で作った焙じ茶を使っているわけですが、中段にあるブロンドショコラのアイスにはキャラメルっぽい粘り気のある香りがあるので、かっちりとした香りを持つ茎茶の焙じ茶で作ったゼリーをあわせた方が良いような気がし始めているのです。
連休中に試作してみるつもりですので、7月からは少し味わいが変わるかも知れません。
それにしてもつくづく思うのは、香りを表現する事の難しさ。
今読み返してみても「スモーキーな香り」が普通の焙じ茶の香りとどう違うのかさっぱり分かりません。
ワインの世界には「濡れた犬のような」とか「猫のおしっこのような」という謎ワードが一般的な香気表現として存在しているようですが、これをスイーツの世界に当てはめるのはためらわれます。
誰かスイーツ用の香気表現辞典を作っていただけないでしょうか?
また香りの表現と言えば、紅茶の表現もまた悩ましいもの。
フレーバーティはともかく、ストレートティに関していえば香りは全て「紅茶の香り」。
読んだ人が分かるように香りの差を表現するのはなかなか困難な作業です。
メニューを読み返してみれば「爽やか」は三回、「花」に至っては四回も使っています。
まぁ花の方は薔薇とか蘭とかで分類しているのでまだましな気もしますが、この分類だってアヤシイもの。
ディンブラが薔薇の花の香りなんていうのは、私が真田広之氏に似ているというようなものです。
「どこが似とんねん」というツッコミが各方面から入ってきそうですが、少し待って頂きたい。
全人類を外形的特徴にしたがって十のカテゴリーに分類したとしましょう。
私が所属するのは芦田愛菜ちゃんのカテゴリーでもなければジャスティン・ビーバー君のカテゴリーでもなく、真田広之氏と同じカテゴリーであるのは間違いないのです。
これと同じで、ディンブラの香りを花の香りに例えるとするならば、ユリでもなくラフレシアでもなく薔薇なのです。
ただ、個人的見解からすると薔薇よりもヒヤシンスの香りの方が近いような気がします。
しかし、お客さんの立場に立ってみると、ヒヤシンスの香りの紅茶より薔薇の香りの紅茶を飲んでいると思った方が優雅な気分になれるもの。
ディンブラを飲まれるお客さんは、ゼヒ薔薇の香りだと思って頂きたい!
話をパフェに戻しましょう。
パフェを作る上では香りもさることながら味の組み立てもまた大切なもの。
「焙じ茶ショコラパフェ」のトップにさしたアーモンドプラリネには砂糖だけでなくハチミツも使い、さらに発酵バターも使って濃厚に仕上げています。
これはその下のアイスが深煎り焙じ茶とベルギーチョコといった味も香りも強めの組み合わせなので、味覚嗅覚に準備運動させるため。
そして、ヘビーやライト、甘みや酸味など様々な方向に振り幅を持たせてラストはカシスで爽やかに締めくくり。
ほんの16センチほどの高さしかないパフェの中には短編小説のような物語が詰め込まれているのです。
そしてこんな物語を次々に生み出すために、夏の間は少々お休みを多めに頂く予定です。
詳しくは表のランチ欄に書いてあるのですが、それ以外にも休みを頂く可能性があるのでご来店前にはHPを確認頂ければ幸いです。
当店はパフェに使うアイスやケーキだけでなく焙じ茶まで作ってしまうほど手作りにこだわっているだけではありません。
作った本人がテーブルまで運び、聞かれもしないのにセールスポイントを語る事もあるほど、作り手と受け手の近いお店です。
何かリクエストなどあれば是非聞かせてください。
そして、より美味しく召し上がって頂くための裏技なのですが、ただのオッサンが運んできたパフェよりも男前のハリウッドスターが運んできたパフェの方が美味しく感じられるもの。
マスクに隠されたその下には、ゼヒ真田広之氏の顔があるのだと思って頂きたい!