256号の当選番号は 018 050 109 116 170 です。
次のお仕事
イヤイヤなかなか大変である。
何が大変かというと、次回の新作パフェが「イチゴと柑橘のパフェ」と「サクラパフェ」の二作同時スタートになったこと。
事の起こりはバレンタイン明けに名古屋へ献血に行ったとき。
いつものようにデパ地下でスイーツ観測を行っていると、やたらと桜モノが売られているじゃないですか。
確かに、思い起こせばハロウィンが終わった翌週にはもうデパ地下はクリスマス色に染まってました。
しかも、よくよく見れば近くのスーパーの菓子売り場にも桜の新商品が目白押し。
どうやら日本人は季節の先取りが大好きなよう。
ならばウチも桜のパフェを早く出さねば!っというわけで、三月早々にサクラパフェを出すことを決めてしまったのです。
とは言え、現在大変なのはそこじゃありません。
問題なのはこのエッセイ。この締め切りが二月末で、新作パフェのスタートが三月七日。
書き上げてからパフェの完成まで一週間しかないのです。
ならばエッセイを早めに書いておけばいいじゃないという声が聞こえたような気もしますが、私はカラータイマーが点滅しないと必殺技を出せないウルトラマンの如く、ピンチにならないと本気を出せない性格の持ち主。
しかも、古き昭和の男である我が灰色の脳細胞はシングルタスクしかこなさない旧型なので、このエッセイを書き上げないとパフェのことを考えられないのです。
そんなわけで勢いに任せてエッセイを書き始めたのですが、何を書くのかまだ決まっていません。
とりあえず、さっき書いたシングルタスクの説明をすることにしましょう。
シングルタスクとは読んで字の如く「一つのお仕事」。
今はパソコンでもスマホでもたくさんのアプリが内蔵されていて、音楽聞きながらLINEしながらネットで買い物なんてことが出来るマルチタスクが普通。
しかし、私がパソコンを使い始めた頃にはパソコンにアプリは内蔵されておらず、葉書よりでっかいSDカードの如きフロッピーディスクなるものにアプリが一つだけ入っていて、そいつをパソコンにさして起動することで、やっと一つのタスクが出来たのです。
従って、文書を書くときには文書作成のアプリが入ったフロッピーで起動して、計算するときには計算のフロッピーに差し替えて再起動するという地味な作業が要求されたのです。
そして私の脳細胞。
さすがにフロッピーは必要としませんし、鼻歌歌いながら尻振りダンスを踊る程度のマルチタスクは出来るのですが、エッセイを考えつつパフェを考えることは出来ませんし、二種類のパフェを同時に考えるなんて出来ないのです。
なんでそんな簡単なことが・・って思う方もいるかも知れませんが、文章やパフェの構成を考えるのはけっこう大変な作業。
脳内に散らばっている無数のネタの中から使えそうなモノを探し出し、組み合わせては壊すの無限ループ。
このエッセイはけっこうやっつけですが、パフェともなると真剣勝負。
最初の一口目から食後の余韻に至るまでの構成を作り上げるのに、スマホだったら熱くて持てなくなるくらいの演算処理が必要なのです。
そこまで考えて作るパフェの構成ですが、基本的には「起承転結」になっています。
最初のアイスのあたりはインパクト強めにして、中段ではいくつかの味の組み合わせを楽しみ、下段のアイスで場面転換をして、最後にちょっと名残惜しさを感じさせるように作ることが多いのです。
従って、個人的には上から順次食べていく「露天掘り」がオススメなのですが、一度一気に下まで味わってから好みの組み合わせで食べ進める「坑道堀り」で自分なりの新しいストーリーを組み立てるのも楽しい食べ方だと思います。
また、パフェの構造は常に「起承転結」になっているわけではなく、例えば紅茶パフェは「起転結結」。
真ん中のレモンケーキとオレンジでリセットしつつ、色んな紅茶の風味を楽しめる構造になっているので、坑道堀りで行きつ戻りつ食べるのもオススメなのです。
また、同じ起承転結でも場面転換の場所が異なることもよくあること。
例えば、このエッセイを書いている時点でやっている「加賀棒茶のパフェ」。
上の抹茶ミルクとアンズのアイスから焙じ茶ティラミスっぽいところまでが「起」なので、二種のアイスやマスカルポーネクリームを行ったり来たり食べるのがオススメ。
そして、焙じ茶台湾カステラからミルクココアアイスまでが「承」なのでこのあたりはいろいろ混ぜながら食べるのがオススメ。
そしてその下の献上加賀棒茶パンナコッタが「転」であり、且つこのパフェで一番のオススメポイントで、その後の清見オレンジゼリーが「結」。
オレンジでリセットすることによってお茶の余韻を味わってもらおうという企みです。
この「転結」を美味しく味わって頂くために、下段のアイスを余韻が残るチョコレート仕立てではなく、あっさりとしたココア仕立てにしたのです。
とまぁこんな具合にいろいろ考えて作ってはいるのですが、どんな食べ方をするかは各自の自由。
何といっても食べる方のシチュエーションは十人十色。
お腹を空かせている方もいれば別腹に頑張ってもらっている方も。
一人の方もいれば二人の方も。
楽しい方も疲れている方も。
どんな方でも、最後は幸せいっぱいの気持ちになれるよう、精一杯の笑顔でお届けしますので、目一杯楽しんで頂きたいっ!
…よし、これでエッセイ終了。
次は「イチゴと柑橘のパフェ」だ!